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スカイマーク、今後のカギは国際線と地方間路線-新社長会見

  • 2020年2月13日

(左から)佐山氏、洞氏  スカイマーク(BC)は2月13日、同日に開催した定時取締役会で、非常勤顧問を務めていた洞駿(ほら・はやお)氏の代表取締役社長執行役員への就任を決定するとともに、就任記念の記者会見を開いた。会見で洞氏は、今後の成長のカギとして国際線および国内地方間路線のネットワーク拡大などを挙げたほか、FSCともLCCとも異なるBCの独自性や、BCに16.5%の出資を続けているANAホールディングス(ANAHD)との関係性について、考えを語った。

 なお、洞氏は1971年に当時の運輸省に入省し、航空局長や国土交通審議官などを歴任した元官僚で、2007年には常勤顧問として全日空(NH)に入社。同社の代表取締役副社長執行役員やANAHDの常勤顧問などを務めたのちANAグループから離れ、18年7月にBCの非常勤顧問に就任していた。現在は駐車場事業を展開するパラカの非常勤社外監査役も務める。

 この日の会見の冒頭でBC取締役会長の佐山展生氏は、洞氏を新たな社長に選任した理由について「業界にもBCにも精通しており、毎月の経営戦略会議では的を射た意見をいただいていた」と説明した。洞氏はBCについて、再生後は速やかに経営を立て直し、安定した運航で評価を高めていることや、FSCともLCCとも異なる独自の立ち位置を堅持していることなどを評価。一方で「まだまだ若い会社で、ノウハウも蓄積されておらず、機材数にも余裕がなく、手作業に頼る仕事が多い」と問題点も指摘し、「ビジネスモデルをブラッシュアップし、次の発展への橋渡しをしたい」と新社長としての抱負を語った。

 洞氏は今後の成長戦略として、国際線および国内地方間路線のネットワーク拡大を挙げたものの、現時点では使用機材が足りないことを説明。後継機として検討していたB737MAX型機が相次いで墜落事故を起こしたなか、慎重に機材の選定を進める考えを示した。

 昨年11月に成田/サイパン線を開設し、今月からは成田/パラオ間でチャーター便の運航も開始している国際線については佐山氏が、北関東在住者の需要拡大が見込めることから、茨城発着路線の開設にも意欲を表明。サイパン線については、日本人の利用者が中国人、韓国人よりも少ないことから当初は心配していたものの、搭乗率は80%に近づきつつあることを伝え、「思っていたよりも順調」と語った。

 洞氏は国内の地方間路線については、今後は羽田発着路線の大きな拡大が難しいと見られることから、拠点とする神戸や茨城などからの地方間路線に注力する考えを説明。具体的な新路線の候補などは挙げなかったものの、神戸については昨年に発着枠と運用時間が拡大したこと、茨城については北関東における需要の取り込みに期待感を示した。

 そのほか、ANAHDからの出資は受けながらも、引き続きNHの「青」でも日本航空(JL)の「赤」でもない、「黄」のBCとして独立性を保つ考えを説明。佐山氏も、自らが代表を務める投資会社のインテグラルが50.1%を出資していることについて述べるとともに、「独自性を維持する使命を感じている」とコメントした。NHとの関係については、BCが昨年に再上場申請を済ませたことについて語った上で、「上場後も良い関係を続けたい」とした。

 NHなどとのコードシェアの可能性については、洞氏が「否定するわけではない」と述べた一方で、現在は自社のみの販売で高い搭乗率を記録していることや、BCのシステム面の遅れなどを理由に「現時点では、積極的にはできない」と説明。将来的には地方間路線などから検討する見通しを示した。佐山氏も「ANAのシステムには入らないが、コードシェアをしないというわけではない」と語り、国際線・国内線を問わず可能性を否定しない考えを示した。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響については洞氏が、1月24日以降に中国人の団体旅行者など約2400人分のキャンセルがあったことを説明。そのうち日本人は約800人程度だったものの、今後の国内線への影響を懸念した。一方、佐山氏は現在の平均搭乗率が83%を超える好調を続けていることを説明した上で、これらのキャンセルが「(その後の予約で)埋まらないわけではない」と語り、現時点では大きな影響とはなっていないことを伝えた。