WOWOW、第1種取得で旅行業本格化、「エンタメツーリズム」追求
285万世帯の会員に高付加価値の番組関連ツアー
コンテンツと企画力で他社と勝負
小林 メインターゲットはあくまでもWOWOW会員の285万世帯で、放送に加えてSNSなどによるデジタルアプローチをうまく活用していきたい。会員向けには、限定のモニターツアーなども検討する。
菊地 ただし非会員でも「WOWOWトラベル」を利用することは可能で、WOWOWとの接点がない人のために、将来的には他の旅行会社に商品を代売していただくことも考えている。そのことがWOWOW加入者の増加につながるかもしれない。
そのほか、利用者には特定のテーマのツアーをリピートしていただくだけではなく、ジャンルの違うツアーを提案し、ご参加いただくことも可能だと思う。WOWOW会員の加入のきっかけはそれぞれに違うが、ツアーの参加者を見ていると会員同士の“共通言語”のようなものがあり、コミュニティーのようなつながりが生まれているのがわかる。その広がりにも、期待できるのではないか。
菊地 現時点で特段の動きがあるわけではないが、例えば別会社のWOWOWプラスには「シネフィルWOWOW」や「歌謡ポップスチャンネル」などの専門チャンネルがあるので、それらの番組に関する旅行商品の提供も可能だと思う。また、WOWOW会員向けに実施している映画関連のリアルイベントに関しても、旅行に関連付けることができるだろう。
小林 他社と同じことをしていても価格競争になるだけなので、WOWOWならではの放送コンテンツやリソースを活かし、エンターテイメントとツーリズムを融合した「エンターテイメントツーリズム」に特化する。手配などについてはアウトソーシングして省力化し、企画力とコンテンツで勝負したい。
一方で、これまでお付き合いのある旅行会社については、手を組めるところは手を組み続けたいと考えている。実際に、現在も手配を代行していただいている会社があるし、共同で企画した他社のツアーを我々が受託販売している。うまくバランスをとりながら良好な関係を続けていきたい。
小林 例えばスポーツ関連のツアーでは、観戦だけに限らず、体験や聖地巡礼なども盛り込んでいきたい。映像や試合を見るだけではなく、さまざまなリアルを体験することで新しい価値や楽しみを発見していただくことができれば、我々も会員とのエンゲージメントを高めることができる。
菊地 国内でゴルフ解説者によるレッスンイベントを実施した時には、かなりの反響があった。LPGAツアーなど、海外のツアーを放送する際にも解説者が現地に行くので、一緒にコースを周る企画を組み込んでも面白いと思う。取り扱うテーマについては無理に広げることなく、反響や需要にあわせて深堀りしていきたい。