ANAHD、3Qも利益2割減、米中摩擦や羽田準備など-肺炎の影響は
ANAホールディングス(ANAHD)は1月30日、2020年3月期(19年4月1日~20年3月31日)の第3四半期連結業績を発表した。売上高は前年比0.9%増の1兆5821億円、営業利益は23.6%減の1196億円、経常利益は20.5%減の1225億円、純利益は19.1%減の864億円。第1四半期の10連休効果などにより売上高こそプラスを維持したものの、利益面は米中貿易摩擦によるビジネス需要の伸び悩みや貨物収入の大幅減、20年度の羽田新路線の増加を見据えた先行投資などにより、第2四半期に引き続き各項目が2割減となった。営業費用は3.6%増の1億4625億円。
主力の航空事業の売上高は0.9%増の1億3953億円で、営業利益は24.9%減の1121億円。このうち国際線の旅客収入は2.3%増の5080億円で、旅客数は1.2%増の773万人だった。座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)は6.2%増、旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)は5.8%増で、利用率は0.3ポイント減の76.8%。決算発表会見に出席した取締役執行役員の福澤一郎氏の説明によれば、単価は日本発ビジネス需要の減少や中国系航空会社の急激な路線増などにより、第三四半期のみで比較した場合、燃油サーチャージの影響を含めて前年度から6%程度落ちているという。
全日空(NH)による国内線は旅客収入が3.5%増の5535億円、旅客数が2.9%増の3472万人で、ASKは1.9%増、RPKは3.1%増、利用率は0.8ポイント増の71.1%。単価はプロモーション運賃の設定などにより、第三四半期のみの比較で前年度から0.6%減少したという。
LCCは旅客収入が7.1%減の643億円で、旅客数は5.3%減の578万人。ピーチ・アビエーション(MM)とバニラエア(JW)の統合による一時的な便数減や、日韓関係の悪化、香港でのデモなどの影響から、ともに前年を下回った。ASKは5.2%減、RPKは5.9%減で、利用率は0.7ポイント減の85.3%。
そのほか、旅行事業は販売を強化しているハワイ商品や、ダイナミックパッケージ「旅作」などの好調で売上高は3.4%増の1192億円、営業利益は41.5%増の19億円。空港の地上支援業務などの「航空関連事業」の売上高は3.6%増の2248億円で、営業利益は7.1%減の113億円だった。商社事業は売上高が0.1%増の1144億円、営業利益は4.9%増の31億円。貨物事業の収入は国際線が20.9%減の781億円で、国内線は7.7%減の196億円。
通期業績については、第2四半期決算発表時に全項目を下方修正した前回予想を据え置いた。売上高は1.5%増の2兆900億円、営業利益は15.2%減の1400億円、経常利益は12.6%減の1370億円、純利益は15.1%減の940億円。ただし福澤氏は、米中貿易摩擦などに加えて、今月に入ってからは新たに新型コロナウイルスによる肺炎の拡大などもあることから、今後さらなる下方修正を実施する可能性について「否定できない」とした。
中国路線、2月は中国発半減、日本発も4割減
なお、成田/武漢線を運休しているNHの中国路線について福澤氏は、2月の予約者数が中国発でほぼ半減、日本発も4割減となる見込みであることを説明。他の中国路線の欠航については現時点では決めていないことを伝えたものの、ここ最近の日中間路線の大幅な増加などもあり、今後の状況次第では運休や減便などの措置を検討する考えを伝えた。現在のNHの国際線売上高に占める中国路線の割合は1割程度という。