エンペラーペンギンの赤ちゃん誕生へ、アドベンチャーワールド
アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)は9月24日、ペンギン目で最大種(体長約120cm、体重約40kg)であるエンペラーペンギンが2019年7月26日に産卵し、検査の結果有精卵であることが分かったと発表した。順調に成長すると、10月初旬に誕生予定。2004年からエンペラーペンギンの繁殖に成功しており、今回誕生すれば13羽目の赤ちゃんとなる。
エンペラーペンギンの卵
10月初旬孵化予定の卵(サイズ:長径約130cm、短径約80cm)黒いラインは、有精・無精卵のチェックの際にスタッフが印を付けたもの。
エンペラーペンギンの赤ちゃんについて
事故で卵が押しつぶされることを防ぐため、現在、温湿度の管理ができる孵卵器で卵を温めている。
「無事に誕生するよう温かく見守ってほしい」と同館。
■産卵日:2019年7月26日(金)
■両親:父親 1997年11月16日搬入(21歳)
母親 1997年11月16日搬入(21歳)
現在、日本国内でエンペラーペンギンを飼育しているのはアドベンチャーワールドと愛知県の名古屋港水族館の2園館のみ。これまで誕生した12羽の赤ちゃんはすべて同じ両親から生まれており、血統問題が深刻化している。未来の繁殖のため2009年から2園館でブリーディングローンを開始している。今年の3月には10年ぶりにブリーディングローンとして1羽ずつ血統交換を実施。卵の有精・無精を検査する検卵方法について情報交換するなど、双方での繁殖を目指している。
昨年誕生したエンペラーペンギンの赤ちゃん(生後約1か月)
ブリーディングローンとは
希少な動物を絶やさず増やしていくために、動物園や水族館同士で動物を貸したり借りたりする制度のこと。双方で協力して種の保存に取り組んでいる。ブリーディングローンの実施により、希少動物のペア飼育や群飼育が進み、たくさんの動物が繁殖に成功している。
アドベンチャーワールド ペンギンプロジェクトについて
アドベンチャーワールドでは、1978年の開園時にフンボルトペンギンとキタイワトビペンギンの飼育を開始し、1990年から自然界で暮らすペンギンコロニー(繁殖群)を再現すべく、「ペンギンプロジェクト」として本格的に飼育・繁殖研究に力を注いできている。アデリーペンギン、ヒゲペンギン、ジェンツーペンギン、キングペンギンと繁殖実績を積み、1997年に世界最大のペンギン、エンペラーペンギンの繁殖研究を開始している。
アドベンチャーワールドペンギン繁殖実績について
1978年:フンボルトペンギン初繁殖
1990年:アデリーペンギン、ヒゲペンギン、ジェンツーペンギンの卵を搬入人工孵化、育雛を行う
1992年:キングペンギンの卵を搬入。人工孵化、育雛を行う
1994年:ジェンツーペンギン初繁殖
1995年:キングペンギン初繁殖
1996年:アデリーペンギン初繁殖
1997年:エンペラーペンギンの赤ちゃんを搬入、人工育雛を行う
1998年:ケープペンギン初繁殖
1999年:ヒゲペンギン初繁殖
2004年:世界でも2園館目となるエンペラーペンギンの繁殖に国内初成功
2005年:エンペラーペンギンの国内初繁殖に対して日本動物園水族館協会より「繁殖賞」を受賞
2006年:キタイワトビペンギン初繁殖。これにより国内最多となる8種類のペンギンの繁殖に成功
エンペラーペンギンについて
■分類:ペンギン目ペンギン科
■生息地:南極大陸およびその周辺
■学名:Aptenodytesforsteri
■英名:EmperorPenguin
■食生:魚類、イカ、オキアミなど。
アドベンチャーワールドでは主にオオナゴ、ホッケなどを与えている。
■繁殖:南極大陸で繁殖するのは、中型のアデリーペンギンと並んでエンペラーペンギンの2種類だけだが、アデリーの繁殖シーズンが、雪溶け後に岩場が露出する夏場なのに対して、エンペラーペンギンはマイナス60度にも至る冬の氷原で繁殖を始め、約120日間にも及ぶ絶食の中ヒナを育てることから「世界で最も過酷な子育てをする鳥」だと呼ばれている。およそ5歳で性成熟に達する。
メスは産卵後、餌を取りに海へ行き、繁殖地に残ったオスは絶食状態で約2か月間卵を抱き続ける。
■寿命:約30年
■特徴:世界最大のペンギンで体長約120cm、体重約40kgに達し、側頭部と胸部上部の鮮やかな黄色が特徴的。唯一赤ちゃんに模様があるペンギンでもあり、生まれた直後から換羽を迎えるまで、 白・黒・グレーの三色をしている。成鳥はキングペンギンとよく似ていますが、キングペンギンは体長約90cmと、エンペラーペンギンと比べると小型で、胸部上部が橙色をしていることから区別できる。
情報提供:トラベルニュース社