【仕事を変える】ビュート社長 村田洋一氏-転職4回、夢に向け独立

「船会社」設立へ、計画順調
すべての転職に意味、業界外で貴重な気付きも

そして、2018年1月に満を持して独立し、会社を立ち上げました。これまでの気付きはどのようなものがありますか

村田 「クルーズ専門」であることにこだわり、ぶれないことが重要だ。入居するビル内の企業にも海外出張のニーズがあり、「飛行機の手配を頼みたい」などとご要望いただくこともある。しかし、全て断っている。やりたくてもやってはいけない。

 総合力で勝負するなら大手にはかなわない。しかし、専門分野であれば大手旅行会社を凌駕するサービスを提供することができる。専門旅行会社は、自社の得意領域以外に手を出すべきではないと考えている。

今後は会社をどのようにしていこうとお考えですか

村田 今後、クルーズもオンライン予約化が進み、「クルーズ専門旅行会社」は大きな変化を余儀なくされると見ている。しかし、この環境変化は中小の旅行会社にとっては大きなビジネスチャンスとなり得る。オンラインを利用しながら、どのようにサービスを付加できるかがキーとなるだろう。クルーズ旅行の専門性を活かした究極の目標は、船会社を作ることだ。何万人という規模にはならないと思うが、3000名くらいは社員で雇おうと考えている。

 自分のライフワークは、「東アジアのなかでお互いを理解し、友好関係を築く」ことだ。例えば、日韓関係が緊張している現在でも、クルーズで釜山を訪問し、現地の人に親切にされ韓国を好きになって帰ってくるお客様が多数いらっしゃる。夢は、日中台韓を繋ぐ船会社を作り、船内での交流を通じて相互理解を深め、東アジアの平和と友好に貢献するクルーズ会社の設立だ。クルーズには、それを実現できるポテンシャルがあると信じている。

それはいつ頃の話になりそうですか

村田 15年後には達成したいと考えている。その頃には現在欧米で活躍をしているクルーズシップの退役が始まるだろう。それを安く手に入れたいと考えている。世界最大のクルーズ会社カーニバル・クルーズラインも、創業時は中古のクルーズシップ1隻からスタートし、僅か50年余りで世界最大規模の会社に成長した。クルーズは夢のある仕事だ。

最後に、転職の極意を聞かせてください

村田 転職の前に、まずは目の前の仕事を大切にし、真剣に取り組むことが大切だ。例えば、トラスト時代の社長は豪快でとんでもない無茶を言ってくる人だった(笑)。いきなりイラストレーターを買ってきて「高いソフトを買ったのだから、これで広告を作って成果を出してくれ」と言われ、素人ながら何とか広告を作成できるようになった。今では、自社のWEBサイトのすべての写真を加工できるようになり、浮いたお金を別の投資に回すことができている。今の仕事の経験が、いつどこで役に立つかは予想できない。だから仕事の意味を求めるのではなく、まず真摯に取り組むことが必要だ。

 そして転職をする際には、転職先でのゴールを決めることをお勧めする。それを達成した時点で、次のゴールをめざすのか、次の転職先を見つけるのかを考えられ、自分で人生をコントロールできるようになる。また、転職がキャリアアップとなるかも重要だ。年収増は客観的な指標で、自分の市場価値が上がって転職するなら、原則給料は上がるはずだ。その分、求められる業務や成果も厳しくなるはずだが、それをクリアして数字を伸ばしていくことがキャリアアップだ。

 最後に、その仕事をしたら、自分は幸せになれるかを考える。人生の時間は有限で後戻りはできない。将来の不確定なことを悩むよりも、幸せかどうかを判断基準にすると、答えは見つかりやすいように思う。

ありがとうございました