HIS、3Qは増収増益、本業が牽引-通期は減益に修正
エイチ・アイ・エス(HIS)の2019年10月期第3四半期(18年11月1日~19年7月31日)の連結業績は、売上高が前年比12.4%増の5737億1700万円、営業利益が18.1%増の113億4800万円、経常利益が8.7%増の112億6800万円、四半期純利益が44.0%増の64億9500円で増収増益となった。売上高は旅行事業でカナダのRED LABEL VACATIONS(RLV)を新たに連結対象としたことなどによりで過去最高に。営業面は旅行事業の増益に加えて、電力小売事業の黒字化などが寄与した。
旅行事業の売上高は12.6%増の5122億7500万円で、営業利益は57.3%増の81億6700万円。日本での旅行事業については、グアムや韓国などの主力方面に加えて、添乗員付きツアーを強化したイタリアや、人気アニメとのタイアップツアーを開始したシンガポールなどが好調。訪日旅行は東アジア市場で競争環境による収益悪化が見られたものの、欧米市場は増加した。海外での旅行事業はRLVの新規連結に加えて、欧州旅行の活況によりミキグループが好調に推移した。
ハウステンボスグループの売上高は7.0%減の201億9200万円で、営業利益は25.7%減の37億1700万円。ハウステンボスの入場者数が訪日客の減少などにより5.4%減の190万9000人となったことや、場内メンテナンスなどの経費増などが響き、減収減益となった。
このほか、ホテル事業は売上高が3.0%増の94億2700万円、営業利益が93.1%減の5700万円。「変なホテル」の軒数増加などにより売上高は増加したが、営業利益は「当期間に一括してバランスシートの健全化を図った」ことにより大幅減となった。九州産交グループは、売上高は1.7%増の164億300万円となった一方、営業利益は人件費増などで26.1%減の2億3900万円。エネルギー事業の売上高は74.9%増の138億8700万円、営業利益は4億9500万円(前年同期は営業損失2億7200万円)だった。
なお、通期業績については昨年12月に発表した予想を修正し、売上高は前期実績比9.8%増の8000億円、営業利益は11.5%減の160億円、経常利益は21.5%減の153億円、当期純利益は13.3%減の96億円と、増収増益から増収減益に変更。売上高についてはRLVの新規連結などにより上方修正した一方、各利益については、訪日旅行の収益悪化や、ハウステンボスの入場者減などにより下方修正した。前回予想からの増減率はそれぞれ1.8%増、20.0%減、27.1%減、12.7%減。韓国と香港への旅行者減については、通期業績に与える影響は軽微と考えられるという。
ユニゾTOBは「株価の推移を注視」-4220円まで上昇
HISはあわせて、株主からの応募が無いまま8月23日に終了したユニゾホールディングスの株式公開買付(TOB)について、今後の方針を発表。ソフトバンクグループ傘下の米国フォートレス・インベストメント・グループが19日から10月1日まで1株4000円でTOBを実施していることについて「期間中に当社が設定した買付価格(3100円)以上の条件で新たにTOBを実施したり買い増したりする予定はない」と述べた。
その上で、フォートレスによるTOBが不成立となり、あわせてユニゾホールディングスの株価が3100円またはHISが「その時点の企業価値を勘案のうえ適当と考える水準」で推移した場合には、再びTOBを実施したり、株式を買い増す可能性があることを説明。フォートレスのTOBに応募するか否かについては「ユニゾホールディングスの株価の推移を注視しつつ決定する」とコメントした。なお、同社の8月28日の終値は4220円で、両社の買付金額を上回っている。