週間ランキング、1位はZIPAIR、「BANANA FISH」コラボツアーが2位に

[総評] 今週の1位は、ZIPAIR Tokyoの代表取締役社長、西田真吾氏のインタビューでした。日本航空(JL)の新LCCとして来年5月の就航をめざしているところで、注目されて当然でしょう。JLの社名を外して「ZIPAIR」と書くだけではまだ通じないかと心配になる部分もあったのですが、どうやら杞憂でした。

 LCC元年といわれた2012年からしばらくが経ち、現在では「◯◯業界のLCC」などという表現が使われるほど「LCC」の3文字が市民権を得たようです。とはいえ、その元年に就航した3社のうちエアアジア・ジャパンはバニラエアとなってあと数ヶ月でピーチ・アビエーション(MM)に吸収される予定で、ジェットスター・ジャパン(GK)も絶好調という話は聞きません。

 そうしたなかで純国産LCCが、しかも中長距離専門で就航するということで興味は尽きません。アジア太平洋地域ではカンタス航空(QF)のジェットスター(JQ)、シンガポール航空(SQ)のスクート(TZ)、あるいはキャセイパシフィック航空(CX)に買収された香港エクスプレス(UO)など、FSC傘下のLCCが居並んでいるところですが、ZIPAIRがそれらにどのように張り合うか、張り合えるのかが関心事となります。

 個人的には親会社が嫌がることも(場合によっては)進んでやってしまうくらいの意思が成功の鍵であると思っていますが、いかがでしょうか。かつてSQの日本支社長が、子会社だろうがなんだろうが「LCCは敵!」と断言したことがあり、今はお考えも変わっているかもしれませんが、私としてはこれくらいの対立があってこそ健全なのではないかと感じています。

 続いて2位は、「ツアーグランプリ2019」で最優秀賞を受賞した「BANANA FISHオフィシャルツアー in NY」について企画の裏話などをお聞きした記事でした。2014年にアイドルグループの嵐がハワイで結成15周年コンサートを開催し、国内外から3万3000人を動員したと聞いた際にも感じましたが、やはり「コンテンツ」の力は非常に強いものがあります。

 投資家のウォーレン・バフェット氏と昼食を共にする権利のチャリティーオークションで今年の落札額が約5億円となった、というのは少し筋の違う話かもしれませんが、価値というのは人それぞれであり、興味がなければ見向きもしないようなものが結構な額になることは往々にしてあります。

 例えば「例のプール」と聞いてピンとくる方とそうでない方がおられると思いますが、分かってしまう方にとってはなんというか特別な場所である可能性があり、そのなかの何割かが「行って写真を撮るだけでも数千円くらいならいいかも」と考えても何ら不思議ではありません。(私もその1人と白状しておきます。)

 ご存じない方は、調べてしまうと眉をひそめることになるかもしれませんけれども、それでもそういうところに結構な興味が集まっていることはお分かりになるはずで、ということはビジネスのヒントになるのでないかと思います。

 さて、このほか今週第4位には、私が取材したJTBの「ファミリーデー」の記事も掲載しました。新宿エリアの法人営業9事業部が共同で開催し、社員同士や家族の交流を促進しようとしたものです。取材は通常、業界誌ですので「いかに儲けるか」に焦点が当あたるのですが、今回は読者の皆様の人生が垣間見え、とても新鮮でした。

 ふと冷静になると嵐、バフェット、例のプール、そして人生と、自分でも一体何を書いているのかと思ってしまいますが、それはさておきトラベルビジョンとして今後、業界で働く皆様の生活や生き方といった側面にも光を当てていければ良いなと感じた次第です。(松本)

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