誰も知らない国を売る-ユーラシア旅行社のツアーGP受賞商品

ヨーロッパロシアの6共和国で特別賞
再受賞の上野氏「旅行会社の原点回帰」

-近年は若者の海外旅行離れなどが問題視されていますが、新規客の獲得に向けた取り組みについて教えてください

上野氏上野 当社の年間の取扱人数は約1万2000人ですが、そのうちの半分を65歳から74歳までの前期高齢者が占めているので、今後は当然、より若い方々を取り込んでいかねばなりません。若い世代が海外に行かない理由の1つには「時間がない、休みが取れない」ということがあるので、10連休となった今年のゴールデンウィークは、若い方々に当社を知っていただけるチャンスだと考えました。そこで将来への投資として、仕入値が高騰して儲けが見込めない状況でも、追加のツアーを設定しました。

 ロンドンやパリなどの大都会や、快適なリゾート地にしか行ったことのない若い世代には、是非とも一風変わったデスティネーションに行っていただきたいと思います。ホテルでお湯が出なかったり、移動中に砂埃まみれになったりして、その時は散々な思いをしても、そのことによって旅が台なしになることはありません。自分の常識が覆され、新しい世界に触れるような体験がなければ、若者の海外旅行観も変わらないと思います。

-OTAの急拡大などによるビジネス環境の変化への対応策についてお聞かせください

上野 当社はSIT型の旅行会社のなかでは最も早くから、ウェブサイトなどのITツールへの取り組みを強化しており、活用歴は長いです。しかし最近では、消費者とのコンタクト方法や誘導方法などのあり方が、明らかに変わってきています。ウェブサイトの強化は、今後も欠かせないと思います。

 OTAについてはパーツの販売者であり、企画の販売者である私たちは、全く違うものを提供していると考えています。例えば、公共交通機関を利用すれば丸1日かかる日程を、私たちは専用車を利用し、訪問する順番も工夫して半日で済ませることができます。また、個人では訪問できない施設や場所を、旅行会社のツアーであることによって訪問可能にすることなどもできます。「時間を買いたい」「特別な体験をしたい」と考える人が増えれば増えるほど、当社のツアーは注目を集めると思います。

-最後に、今回の「ツアーグランプリ」の感想をお聞かせください

上野 受賞商品のレベルは年々上がっています。以前は「先進性と企画力なら負けない」と自負していましたが、他社もしっかりと新しい切り口やアイデアで商品開発に取り組んでいるので、学ぶことは多く、良い意味での“危機感”を感じています。今回はそのようななかでの再受賞だったので、一段と嬉しいものでした。

-ありがとうございました