エアプサン、今後は仁川からも国際線、成田など視野に

日本就航から10年、「FSC並み」の営業で各所と関係構築
今後はNDC導入でオンライン販売も強化

 多くの韓国系LCCがソウルと日本の各地を結ぶ路線を運航するなか、アシアナ航空(OZ)に加えて釜山市や釜山の有力企業が出資するエアプサン(BX)は、「ソウル以外」と日本を結ぶ独自のネットワークや、機内食の無料提供など独自のサービスで個性を示し、日本での存在感を高めてきた。2010年3月の日本就航から9年が経ち、10年目に入ったBXだが、今後はどのような展開を見せるのか。日本代表を務める東京支店長の朴用学(パク・ヨンハ)氏に話を聞いた。

-日本就航から10年目を迎えましたが、これまでの歩みを振り返ってください

朴用学氏(以下敬称略) BXは10年3月に初の日本路線として福岡/釜山線に就航した。当時の日本市場ではLCCに対する認知度が低く、まずは大手旅行会社の力を借りることにした。当時のLCCは流通コスト削減に向け、直販に絞って販売するケースが多かったが、BXはJTBやエイチ・アイ・エス(HIS)などのパッケージ商品に使用されることで、認知度の向上と信頼感の醸成をはかった。

 同時に、他のLCCとの明確な差別化にも努め、機内食や飲み物、日本語の新聞などを無料で提供し、FSCと比べても遜色のないサービスを実現した。当時はそれらが、飛行機に乗った際の当たり前のサービスと認識されていたからだ。このような取り組みの結果、17年の「オリコン顧客満足度ランキング」では、日系LCCを抑えてLCC国際線部門の第1位に輝くことができた。就航後の9年間で、日本市場においても航空会社として認知され、選んでもらえる存在になれたと考えている。

 そして、一般消費者にもLCCの概念や特徴が浸透したと判断できた18年秋からは、他のLCCと同じレベルにまでサービスを簡素化した。それによって運賃の値下げにつなげ、さらに多くの支持を得られたと考えている。

-日本路線の現況について教えてください

 現在は10路線で1日あたり計17往復を運航している。福岡/釜山線は4往復、関空/釜山は3往復、成田/釜山線と関空/大邱線は2往復で、釜山/新千歳、中部線と大邱/新千歳、成田、福岡、北九州線はそれぞれ1往復を運航している。

 利用者の日本発と韓国発の割合は路線によって異なるが、平均すると訪日韓国人が7割から8割、訪韓日本人が2割から3割となる。ただし成田路線は日本人の割合が高く、4割近くに上る。日本発と韓国発の比率はなるべく均衡させる方針で、どの路線も最終的には5対5をめざしている。

 だから訪日韓国人需要が大きい時は韓国市場にばかり座席を提供し、残った座席を日本で売る、といったやり方はしない。席が余ったからといって、急に旅行会社に商品造成を頼んでも、うまくいくはずがない。旅行会社は年間計画で動いているので、日本市場の動向を踏まえた上で、本社には日本向けの座席の確保を強く働きかけている。