MICE注力のメルボルン、FSCの直行便で視界良好【視察レポート】

アクセス、自然環境、インフラ、体験素材、食のすべてが抜群
ホテル建設ラッシュ、フィリップ島には新ビジターセンターも

世界の高級ホテルが相次ぎ進出、ユニークベニューも充実

ザ・ランガム・メルボルンは街を代表するホテルのひとつ

 MICE都市としてのインフラもさらなる拡充が続いている。例えばホテルに関しては、グランドハイアット・メルボルンやパンパシフィック・メルボルン、プルマン・メルボルン・オンザパークのほか、ザ・ランガム・メルボルン、あるいは英国のカリスマシェフであるヘストン・ブルメンタールの名を冠した世界で2件目のレストラン「ディナー・バイ・ヘストン・ブルメンタール」が入居する高級ホテル「クラウンタワーズ・メルボルン」といった個性と格式を兼ね備えた高級ホテルもある。

 昨年はザ・サボイホテル(4ツ星・163室)、ノボテル(4ツ星半・482室)、今年はアロフト・メルボルン(4ツ星・176室)などがオープン。さらに20年にはマリオット(200室)、Wホテル(294室)、ル・メリディアン(235室)、ハイアット・セントリック(280室)リッツ・カールトンなどが開業の予定で、今後の計画が順調に進めばホテルキャパシティーは現状の2万6000室から、数年内に1万室増となる見込みだ。

ビクトリア国立美術館はユニークベニューとしても人気

 さらに、MICE都市として欠かせないユニークベニューも充実している。大坂なおみ選手がテニス4大大会2連覇を達成したことで大いに盛り上がった全豪オープンテニスの会場メルボルンパークも、そんなユニークベニューとして活用できる。同パークのロッドレーバー・アリーナやマーガレット・コート・アリーナは、イベント会場として利用することもでき、2年前には日本のアムウェイのインセンティブツアーが実際にマーガレット・コート・アリーナをイベントに使用している。

 南半球で最も高い地上297メートルの展望デッキがあるビル「ユーレカ89」には、南半球で一番高い場所にあるファンクションルームもある。また、景観でいえばドックランズにある大観覧車、メルボルンスター・オブザベーションウィールも負けていない。地上からの高さが最高120メートルに達する巨大観覧車は1周30分で、メルボルンの街並みが一望できる。観覧車には20人乗りのキャビンが21台付いており、1回に最大420人を収容できる。10人以上のグループで1キャビンを貸し切り使用できる。軽食やドリンクのケータリングも利用可能だ。

 ビクトリア国立美術館もユニークベニューとして利用できる。ステンドグラスホールは着席で550人、立食なら1000人まで対応可能。貸し切りにできるのは閉館後の夜だけだが、他にない特別な雰囲気のもとでイベントを開催するのに適している。

フィリップ島には新ビジターセンターも

ペンギンパレードが始まる日没に合わせて多くの見学者が海岸へ向かう

 体験プログラムに関してはメルボルンの鉄板プランが、ペンギン・パレードとヤラバレーのワイナリー訪問だ。ペンギン・パレードの舞台となるフィリップ島は市内から150キロメートル。片道2時間の距離だが、その価値は十分にある。その名もリトルペンギンという体長30センチメートルしかない小さな小さなペンギンが、日没後に海岸から続々と上陸してくる様子はとても感動的だ。

 写真や文章では伝わりにくい感動は、現地へ行くからこそ得られるもので、まさに旅のだいご味。MICE素材としても参加者の満足度を向上してくれることが期待できる。新しいビジターセンターも建設中で7月末には完成予定。お洒落なカフェも併設する。フィリップ島ではこれまで飲食の選択肢が少なかったが、新ビジターセンターは新たな食事場所の選択肢としても期待される。

ヤラバレーの美しい丘陵地にあるロックフォードワイナリー

 一方、ヤラバレーはオーストラリアを代表するワイン生産地で、多くのワイナリーを訪問できる。なかでも「ローチフォード・ワイン」ではワインのブレンド体験が可能で、手本となる赤ワインと同じ味をめざし、用意されたカベルネソーヴィニヨンやシラーズ、ピノノワールといったブドウ品種ごとのワインを、自らの味覚と舌の感覚をもとにブレンド。手本のブレンド比率と一番近いワインをブレンドした人物が表彰される仕組みだ。

 そしてこれらの素材はMICE都市としてのメルボルンの魅力のほんの一部だ。他にも世界遺産のロイヤル・エキシビション・ビルディングや、オーストラリア最古の蒸気機関車が牽引するパッフィン・ビリー鉄道、オーストラリア固有の動物たちを観察できるヒールズビル自然保護区など素材は様々。MICEデスティネーションとして、メルボルンの評価は今後まだまだ向上していくはずだ。

取材協力:ビクトリア州政府観光局
取材:高岸洋行
※訂正案内(編集部 2019年7月10日10時50分)
訂正箇所:第8段落
誤:ロックフォード・ワイン

正:ローチフォード・ワイン

訂正箇所:第9段落
誤:ロイヤル・エキシビション・センター

正:ロイヤル・エキシビション・ビルディング
お詫びして訂正いたします