travelvision complimentary

MICE注力のメルボルン、FSCの直行便で視界良好【視察レポート】

アクセス、自然環境、インフラ、体験素材、食のすべてが抜群
ホテル建設ラッシュ、フィリップ島には新ビジターセンターも

メルボルンの夜景

 メルボルンはアジア太平洋地域でトップを争うMICEシティーであると断言したい。今回の現地取材で得た確信だ。MICEシティーとして必要な要素のすべてが、高いレベルで揃っているメルボルンのような都市は貴重だろう。日本からの直行便もカンタス航空(QF)と日本航空(JL)が運航し、MICEに欠かせない座席供給力の拡充も心強い。


世界に認められる人気都市、メルボルン

 国際会議やコンベンションの国際団体であるICCA(International Congress & Convention Association)が6月18日に発表した「2018スタティスティックレポート」によると、昨年の国際会議・コンベンションの参加者数で、メルボルンはアジア太平洋地域の第10位にランクされる。開催件数でも第11位だ。注目すべきはランキングの顔ぶれで、参加者数の順位がメルボルンより上位の都市は、シンガポール、ソウル、バンコク、東京、シドニー、香港、北京、クアラルンプール、台北であり、シドニー以外は全部その国の首都なのだ。

 オーストラリアはキャンベラが首都だが、シドニーは実質的には首都的な存在となっており、メルボルンが唯一の首都以外の都市ともいえる。さらにいえば、メルボルンはベスト10のうち最も人口が少ない都市である。首都でもなく、人口も最少のメルボルンが国際会議都市として上位に食い込んでいること自体が、メルボルンの高い競争力を証明している。

メルボルン・オリンピックパークを含む「ガーデンシティ」を俯瞰

 そもそもメルボルンは都市としての基礎体力が高い。もともと都市としての魅力が大きいのだ。英誌「エコノミスト」の調査部門がまとめている「世界で最も住みやすい都市」ランキングでは11年から17年まで7年連続で首位を獲得。18年はウィーンに首位を譲ったものの僅差の2位につけている。

 現地在住のガイド、山本アヤ氏も「ガーデンシティーという別名が示すように、街の面積の4分の1が公園といわれるほど緑が多く、都会でありながら環境が良くて暮らしやすい。しかも公共交通機関が便利で、文化的な環境も素晴らしい」とメルボルンでの生活の質の高さを証言する。

日本から毎日2便の直行便

JLとQFのロゴ(両社ウェブサイトより転載)

 MICE都市として世界的に人気のメルボルンだが、こと日本における人気は高くなかった。というのも以前は、日本からの直行便の座席供給に難があったかったからだ。

 その状況に変化が訪れたのは16年。QFが成田/メルボルン線の直行便を開設。メルボルンが直行デスティネーションへ“昇格”した。さらに翌17年9月にはJLも成田から直行便の運航を開始した。この結果、メルボルンは日本から毎日2便が運航される都市となり、直行便の供給座席数は毎日約500席にまで拡大した。

 宿泊や交通、会議施設に関するインフラは国際レベルで、気候を含む自然環境にも恵まれ、食が美味しく、体験素材にも恵まれたメルボルンが、日本でも人気MICE都市となるための最後のピースが埋まった格好だ。