ドイツ、日本人150万泊を再び、30年までに-富裕層市場を開拓
ドイツ観光局はこのほど、旅行会社向けのワークショップ&セミナー「ドイツ旅行展」を開催した。2年に1度、日本市場向けに実施しているもので今回が19回目。ドイツから18社のサプライヤーが参加した。セミナーの冒頭で同局アジア・オーストラリア地区統括局長の西山晃氏は「日本の海外旅行市場は(全体的に)好調だが、ヨーロッパサイドは追い風を感じていない」との認識を示し、出席者に協力を求めた。
西山氏によれば「18年のドイツのインバウンド市場は00年比で2倍に増加」したものの、その間、日本人旅行者の宿泊数は00年に達成した150万泊の記録を超えることができず、必然的にシェアもピークだった2000年の4%から1.4%にまで落ちている状態。一方で、中国人旅行者の宿泊数は日本の3倍に増加し、シェアも3.3%に拡大していることから、相対的にアジアにおける日本の地位は低下しているという。
それでも18年の日本人宿泊数は前年比4.0%増の119万泊で、日本人のヨーロッパ旅行ではイタリア、フランス、スペインに次ぐ第4位の規模となった。セミナー終了後に本誌のインタビューに応えた西山氏は、今年の1月から3月までは前年比で2.5%程度減少しているが「4月以降は持ち直すだろう」とコメント。その上で「UNWTOの予測を踏まえて、今後は30年までに再び150万泊を達成したい」と明らかにした。
量的目標を定める一方で、ドイツではオーバーツーリズムの問題も顕在化していることから、観光局は活動戦略としてラグジュアリー市場を強化し、現地での消費増にさらに注力する方針。西山氏は「現地も実際のところは、1泊30ユーロの旅行者よりも300ユーロの旅行者を受け入れたいと思っている。その点、日本にはまだポテンシャルがある」と述べ、今後は富裕層を顧客に持つ旅行会社や、大手旅行会社のラグジュアリーブランドへのアプローチを強め、富裕層向けプロダクトを紹介していく考えを示した。