豪州、路線増で国全体に期待感、周遊やセルフドライブに可能性も
南とタスマニアでも活動強化の兆し
さらなる路線拡充に期待も
サンドラ・チップチェイス氏(本局CEO)
新堀治彦氏(日本局長)
18年の日本人訪問者数は19万6600人で17.1%増となり、消費額も16.1%増の406万豪ドルで、チップチェイス氏は「大変素晴らしい結果」と評価。新堀氏によると、特に17年末にQFが就航した関空線も好調に推移。またチップチェイス氏は、「最近は80年代に若いOLとしてシドニーを訪れてくれた人々が、今や子や孫とともに再訪してくれている」と長年の取り組みの成果をアピールした。
力を入れている「VIVID SYDNEY(ビビッド・シドニー)」は、18年に旅行会社50名を招待して大型FAMツアーを実施。こうした取り組みもあって18年には4800人の日本人旅行者がビビッド・シドニーをテーマにしたパッケージツアーを購入し、さらに新堀氏によると「航空座席はもっと売れており、より多くの方に来ていただいている」といい、ショルダーシーズン対策として成功しているとの分析だ。
日本市場での活動では、航空会社、旅行会社、OTAそれぞれと手を組みバランスよくプロモーションを展開。旅行会社向けには今年もビビッド・シドニー期間に30名規模のFAMツアーを実施するほか、OTAではExpediaでのキャンペーンなどを予定している。なお、懸案である商品内容の多様化については徐々に成果が上がってきているといい、州内のシドニー以外の地域への需要分散化も進んでいるという。
ポール・サマーズ氏(日本局長)
坂本統氏(セールス&マーケティング・マネージャー・ジャパン)
小林芳美氏(マーケティングマネージャー)
クイーンズランド州では、18年の日本人訪問者数が1%増の20万8000人を記録。休暇での訪問のみは16万1000人となり、オーストラリア全体の30万人の半数以上を受け入れた。地域別で見ると、ケアンズが横ばいであった一方、ゴールドコーストは5.2%増(休暇のみでは7.9%増)と好調に推移した。
ケアンズについては、関空の閉鎖などもあったなかで「悪くなかった」(坂本氏)との考えで、数年前は客室数が不足気味であった点も、新ホテル開業により稼働率が下がりつつあるほかリノベーションをする施設も増え、旅行会社が販売しやすい環境になってきている。
また、グレート・バリア・リーフでは、サンゴ礁がほぼ死滅したとする情報が出回ったが、実際には「2キロメートルのサンゴ礁に一部分だけ白化が見られたら全体を白化と数える」といった状況で、現在はオペレーター各社がサンゴ礁の映像を発信するなど努力を重ね、消費者の認識も正されつつある。ただし「無限にあるものではない」ことから、サンゴ礁の再生活動やプラスチック製ストローの使用自粛などの取り組みも継続する。
一方のゴールドコーストでは、18年4月と5月にイベントが重なり「客室がほとんど出なかった」(小林氏)ものの通年では好調に推移。JTBや日本旅行のキャンペーンが数を押し上げたほか、メディア系旅行会社の周遊型商品でゴンドワナ多雨林を訪れるツアーが順調だったという。
セグメントでは、若い世代と40代を中心に女性が牽引。昨年に開始した「Kaori Tabi」プロモーションは、AIでゴールドコースト各地の香りを解析させハーブティーを作ったもので、「考えていた以上に複雑な香り」(小林氏)で「かなり完成度が高い。それぞれのハーブティーがそれぞれの場所をよく表している」(サマーズ氏)といい、こうした活動も成果に繋がっている様子。4月27日には東京で消費者向けイベント「GOLD COAST『DEEP展』」を開催してさらなるファンの獲得をめざす。
TEQの今後の展開では、ゴールドコーストとケアンズを軸にプロモーションを実施。ただし、ブリスベン/ウルル線利用など周遊型のパッケージにも取り組むほか、ハミルトン島もセミナーやメディア露出などについて引き続き協力していく。また、20年に日豪間におけるワーキングホリデー制度が40周年を迎えることも見据えて、ワーキングホリデー需要のテコ入れにも着手。このほか旅行会社向けの活動では、例えばセミナーを店頭販売や団体営業の担当者を対象とするなどサプライヤーのニーズに寄り添う形で工夫する。
さらに、路線誘致についても引き続き積極的に取り組んでいく方針で、特にジェットスター航空(JQ)が新機材を受納する来年9月以降にチャンスを見出す。また、機材によっては小型でも遠方まで飛行可能なものも導入されつつあることから、これまでよりもアプローチ先の選択肢を増やしていく。