専門性で生き残る:寺院参拝と「アショカツアーズ」のビーエス観光
国内の団体参拝からインド旅行へ拡大
手配旅行に注力、めざすは「中堅優良企業」
-OTAの台頭が目覚ましい今の旅行業界をどう見ていますか
水野 リアルエージェントは色々な意味で厳しい状況にあるが、当社については「インドに行きたい」と思った人がインターネットで検索すれば、最終的にはアショカツアーズの情報にも辿り着くし、ウェブサイトを見れば痒い所に手が届く専門の旅行会社であることが分かるので、あまり大きな脅威とは考えていない。やるべき事は、お客様が希望する旅行をしっかり手配して、適正な価格で提示し、現地のパートナーが安全に案内することで、それがすべてと言える。
-「旅専」の近年の活動状況は
水野 今年の3月まで5年間にわたり会長を務めたが、活動は時代とともに変化している。かつては「ツーリズムEXPOジャパン」に出展したり、書籍を出版したりしていたが、業界の内外で認知度を高めるには予算がいくらあっても足りない。現在は、21社まで増えた加盟会社間で情報交換や勉強会をしたりして、それぞれに専門型の旅行会社としての力を高めている。とはいえ会費の3分の1はウェブサイトやFacebookでの広報活動に費やしており、一般の旅行者へのアピールも続けている。
-ビーエス観光の今後の目標を教えてください
水野 ひと言で言うなら「中堅優良企業」をめざしている。社員が皆いい仕事をし、しっかりとした給料を貰う。そのためにはそろそろ、事業継承についても考えていく必要がある。私は今59歳だが、65歳ぐらいまではこのまま突っ走り、その後は団塊ジュニア世代を中心に社員が育ってきているので誰かに、という話になるのではないか。
-デスティネーションとしてのインドには今後、どのような可能性があるでしょうか
水野 近年は国内のインフラが整い、宮殿ホテルのような魅力的な宿泊施設も増えるなど、ハード面が整備されてきている。日本からの航空路線も増えているし、2国間関係も悪くないので、これから人気が爆発する可能性は大いにあると考えている。
観光については、自然や歴史、人、食とすべてがある。今おすすめしたいのは、チベット仏教が根付いている北部のレーや、ヒマラヤ山脈が見える北東部のダージリンなどだ。そのほかにも北西部のジャイサルメールではタール砂漠の美しい風景を見ることができるし、南部のヒンドゥー教寺院もすばらしい。
最初はデリー・アグラ・ジャイプールのいわゆる「ゴールデンルート」を周るようなパッケージツアーでも構わないが、本物のインドを体験するなら、やはり地方の田舎町が良いと思う。インドも近年は大きく発展しているが、田舎にはまだまだ自然と共存する人々の素朴な暮らしが息づいている。是非それを感じてみてほしい。