SNSで地域も宿も自らも輝く 人気ブログで発信する若女将座談会(3) “OKAMI”を世界へ発信
―インバウンドがすごい勢いですが、皆さんのところはどうですか。
内田 ツアーの時はガイドさんが来てくれるので大丈夫ですが、個人の時は身ぶり手ぶりです。何とか不思議と通じているみたいです。
漆原 香川県も、琴平に来るのは台湾からが断トツなんですが、3年に一回ある瀬戸内国際芸術祭の間は欧米の方が多いですね。先日ニュースで、日本に来てどこへ行くかというので東京や大阪、北海道、沖縄に次いで直島だと報道されていました。瀬戸芸で人気らしいのですが、あまり実感はないものの地域活性にはありがたいですね。
―地域との連携でSNSを活用していますか。
原 イベントをブログでアップしたり、フェイスブックでシェアしたりすると、その期間に泊まりに行きたいというお客様がいらっしゃいます。でも、個人のブログなので大々的にというわけにはいきません。私たちができるのは、横のつながり。全国の女将さんでつながっているし、白浜町の中でも商店街の女将さんたちをご紹介することです。お土産物を買いたいというお客さんがいたら、知っている女将さんを紹介して人でつなげていく。知らない土地でも安心して旅行できるのではと思っています。
迫間 鳥羽には温泉ソムリエがいます。温泉の入り方や、お茶菓子をお部屋に置いているのは入浴前に低血糖で倒れないように食べていただくためなどとお伝えします。
内田 雲仙温泉は2月に、花火が毎週土曜日にあり、「花ぼうろ」と言って霧氷のイベントで集客につなげています。その時に雲仙焼やウォーキング、ビードロ美術館などをお勧めしています。
松本 長浜に来ていただけるように曳山祭や盆梅展を発信しているのですが、うちは本当に市街から離れているので直接お泊まりに来ていただくのは少ないですね。ただ、私のブログを見た人に長浜に興味を持ってもらいたい、また来てほしいと思っています。興味を持った人は、祭を見に来た時には必ずうちに泊まってくださいます。
原 白浜ではポスターガールズと言って、商店や病院など看板娘を集めたグループを作っています。トライアスロン大会の時は皆で着物を着ておもてなしをしようと、ゴールのところで待っていて「イエーイ」ってやるんです。今日は無料で着物が着れるよ、と女心をくすぐりながら若い子を巻き込んで。その時はいろいろと支援いただいているのですが、お金が出ない時は負担が大きい。それが今悩みですね。
橋本 いま旅館が後継者不足で、だんだん少なくなってきています。若い人は残っているのですが、お嫁さんが旅館に来てくれない。漁師さんにはお嫁さんが来ているのに、旅館にはなんで?という感じ。答志の子は口下手なんですが、漁師の子は釣ってくるのがうまい(笑)。旅館にも若女将として来てほしいなと思うんですが。
原 女将のイメージをもう少し自由にしたらいいのかも。堅苦しくて、やりたくない無理って思う人が多いのかもしれません。「いらっしゃいませ」ばかりではなく「やっほー」でもいい。ダメかもしれないけれど。
松本 ブログの発信がまさにそんな感じ。
迫間 やはりイメージアップ、旅館の地位向上が必要だと思います。鳥羽では、女将をブランド化してOKAMIとして世界発信していこうと取り組み始めています。
内田 ゆうこりん(迫間さん)と同じでOKAMIを世界発信できればと思います。雲仙でも女将さんは減っています。私が入ったころから5、6人はいなくなっています。私の後に入った人はまだ誰もいません。
迫間 海女や忍者みたいに世界共通語に…。
漆原 日本イコールOKAMIみたいな(笑)。
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情報提供:トラベルニュース社