一気呵成に東名阪福へ就航、タイ・ライオンエアーはこんな会社

遅れて参入も「1段上のサービス」で勝負
日本地区支配人の大城氏に聞く勝算

 昨年12月の成田/バンコク(ドンムアン)線開設を手始めに、今年度だけで日本4都市に就航するLCCのタイ・ライオンエアー(SL)。FSCとLCCがひしめき合う日泰路線では遅い参入ながらも、一気に攻勢をかけるSLとは一体どのような航空会社なのか。また、日本市場ではどのような未来予想図を描いているのか。アシアナ航空(OZ)東京支店営業部長、アエロフロート・ロシア航空(SU)日本地区営業部長などを歴任したのち、このほどSLの日本地区支配人に就任した大城成二氏に、戦略を聞いた。

-まずはSLの紹介からお願いします

大城成二氏(以下敬称略) インドネシアのライオンエアー(JT)のグループ会社として2013年にタイで設立されたLCCで、バンコクに本社を置き、ドンムアン国際空港を拠点にアジアへの路線を展開している。近年は急速に事業を拡大しており、ここ1年間で座席供給量は40.7%増え、現在は1日あたり180便を運航して3万人の乗客を運んでいる。航空関連メディアの「Routesonline」では、18年に最も急成長した航空会社として認定されている。

 SLがめざしているのは、単なるLCCではない「1段上のサービスを提供するLCC」で、A330-300型機やB737 MAX 9型機などの新たな機材やフリースナックの提供など、さまざまな面で他社との差別化をはかっている。その結果、オーストラリアの航空関連シンクタンクのCAPA-Centre for Aviationは18年の「アジア太平洋ベストLCC」としてSLを選んでおり、SLを利用した経験がある知人たちも「LCCの枠を超えたサービスだった」と評価している。

-ドンムアンから日本への4路線の概要を教えて下さい。中部線については就航が延期されましたが

大城 昨年の12月7日に成田線、2月15日に福岡線(福岡発便は16日から)のデイリー運航を開始した。今後は3月8日に中部線、同28日に関空線を、それぞれ週5便で開設する。中部線は、当初は1月に開設する予定だったが、システムなどの不具合により3月に延期となり、それに伴い関空線も3月2日の就航を28日に延期した。

個人用モニター(写真提供:SL) 成田線に投入している392席のA330-300型機は、元はグループ内のFSCが使用するために用意した機材で、極めて快適だと自負している。プレミアムエコノミーとエコノミーの2クラスで、プレミアムエコノミーはFSCのビジネスクラス並みのシートピッチやリクライニングを実現して、足元の広さも十分だ。一部の旅行会社からは「これなら “ビジネスクラス”と称して販売しても受け入れられるのでは」と、名称変更を希望する声も寄せられている。

 エコノミークラスもFSCに勝るとも劣らない座席で、個人用のモニターやUSBポートなどを装備している。また、2クラスともに無料の軽食を提供しており、このようなサービスもSLの評価を押し上げていると思う。その他の3路線はB737MAX9型機を使用する。