週間ランキング、JAL・ANAの新路線、「真の旅行会社」企画も
[総評] 今週の1位は日本航空(JL)の2019年度路線便数計画でした。新たに発表された内容の目玉は成田/ベンガルール線の就航で、オフラインとなっていたインド南部への直行便が実現することとなります。全日空(NH)についても同日にチェンナイ線の就航を含む路線便数計画の記事を掲載したのですが、こちらはクリック数がJLの記事より約25%も少なく順位も第3位に留まっており、少々意外な結果でした。ベンガルールの方が認知度が高いということでしょうか。
しかし、それにしてもライバルである2社が同じタイミングで同じ南インドへの路線を発表するというのは、不思議というべきなのかそれとも必然なのか考えてしまいます。調べてみるまで知りませんでしたが、ベンガルールとチェンナイは直線距離で300キロメートル程度と近接しており、偶然であったとしてもにわかには信じられません。
300キロメートルというと日本でいえば東京と名古屋間と同じような距離で、そう見れば必ずしも近すぎるということはないのかもしれません。とはいえ、どのタイミングで相手の就航計画を気付いたのか、最初からそれぞれの会社が今回の就航地ありきだったのか、それともどこかで方針転換があったのか、などと考えると、池井戸潤さんの小説のような世界が想像されて面白く感じます。
またNHは今年、チェンナイのほか西オーストラリア州のパースへの就航も計画しており、さらに根も葉もない話かもしれませんがロシア就航の噂なども聞こえてくるところで、今後も積極的な動きが続く可能性が高いと思われます。JLも現状維持を理想とすることはないでしょうし、今回のインド路線のように熾烈な競争があちこちで巻き起こっていくのでしょうか。
そんなに急にニッチな路線を増やして大丈夫かと少し心配もしてしまいますが、旅行会社として座席増を上手に活用していくことが路線の安定にも繋がりますし、逆にさらなる路線拡充の実現には旅行会社の力も不可欠といって良いのではないかと思います。
また、今週はトラベルビジョンの新企画第1弾がランクインしました。このご時世、どうしても話題がオンラインのプレーヤーや大手企業に集中しがちで、トラベルビジョンのコンテンツもそちら側に偏重してしまう傾向にあるわけですが、我々の読者である皆様はもちろん、旅行業界全体の構図として中小規模の企業が多く存在し業界を支えてきたことは間違いありません。
そうしたなかで、新企画は「痒い所に手が届く高品質なサービスで利用者の評価・信頼を得て、販売力を維持・拡大している」ような旅行会社を「フルサービスエージェント(FSA)」と定義し、大きく取り上げていくものです。本稿タイトルで「真の旅行会社」と表現しましたが、まさに旅行会社としての真の価値に焦点を当てた企画です。
残念ながら初回はランキング第4位と期待していたほどには伸びませんでしたが、初回ということもあって皆様のご興味を正しく得られなかったかもしれません。しかし、いわば「山椒は小粒でもぴりりと辛い」を旅行業界で見つけてご紹介するコーナーであり、お読みになる皆様のお立場に限らずきっと何かしらのヒントを感じていただけるはずです。
前述の通り社会は激動の時代を迎えており、旅行業界では大手だからといって安泰とは限らず、むしろOTAだって少し先の未来は誰にもわかりません。規模の話でいえば、大手が底力を発揮して生き残ったとしても従業員の立場が今と同じかというと、テクノロジーが単純作業を代替していくと予想されるなかでそれはなかなか期待しにくいかもしれません。
そうしたなかで個人としても「ぴりりと辛い」人間であることは非常に重要であるはずですが、実はそうなるためには中小の方が近道、ということも十分にありえます。そういった意味でも、新しい「FSA」企画は気持ちを込めて取り組んでまいりますので、是非ご覧いただければ幸いです。(松本)