T-LIFEとIAJ、シナジー最大化で「生き残る旅行会社」に

タイヘイグループで旅行・航空関連8社が協働
極東ロシアの活用にも期待

(左から)石川氏、羽田氏  食品関連事業などを展開するタイヘイグループは昨年4月、傘下のタビックスジャパン、東日観光、トラベルイン、湯旅の4社を統括する持株会社「T-LIFEホールディングス」を設立し、旅行事業のさらなる強化を開始した(リンク)。さらに10月には、ロシアへのツアーや航空券手配などを手がけるジャパン・エア・トラベル・マーケティング(JATM)など4社からなるIAJグループのタイヘイグループ入りも決まり、事業強化は新たな局面を迎えつつある。「それぞれ得意分野を持つ事業会社間のシナジーを高めながら、次世代に生き残れる旅行会社をめざす」と話すT-LIFEホールディングス社長の石川邦大氏とIAJグループの羽田ダッシュ氏に、今後のビジネス展開に関する方針を聞いた。

-IAJグループがタイヘイグループに入った経緯からお聞かせください

羽田ダッシュ氏(以下敬称略) IAJグループはロシアや旧ソ連諸国などニッチな市場で成長してきたが、近年の日露関係の進展や交流人口増を受けて、今後はさらに事業を拡大していくチャンスがあると感じていた。2016年5月に日露首脳が打ち出した8項目からなる協力プランのなかには「人的交流の拡大」という項目もあり、ロシアに興味を持つ旅行会社も増えてきている。

 しかし、我々の力だけでメジャーなビジネスへと発展させていくのはなかなか難しく、特に営業の面での課題がある。当然、競争も激しくなるので、そのためには後ろ盾となる力が必要になる。長期的なことを考え、取引銀行を通じてタイヘイグループをご紹介いただいた際には「このチャンスを逃したくない」と思いグループ入りを決めた。

石川邦大氏(以下敬称略)  現時点ではIAJ各社の株式についてはタイヘイが所有しているが、将来的にはT-LIFEの子会社にすることを検討中だ。今はまだグループ入りしたばかりなので、事業や人事について精査している段階で、すでに東日観光の取締役を派遣したりしている。

-T-LIFE傘下の各社とIAJグループとのシナジーについてはどのように考えていますか

石川 まずはロシアなどが持つデスティネーションとしてのポテンシャルを、T-LIFEの旅行会社で活かせることができるようになる。特に極東ロシアは3、4時間のフライトで行ける近さも魅力的だ。韓国、中国などの近隣諸国と比べると、日本からの旅行者はまだまだ圧倒的に少なく、良さが伝わっていないと思うが、逆に言えば、これから伸びていく余地がある。タビックスジャパンは募集型企画旅行を造成し、東日観光は教育旅行や業務渡航などで強みを持っているので、商品化や販売が可能だ。

 IAJグループは、S7航空(S7)やオーロラ航空(HZ)などロシア系航空会社のセールスエージェントを務めているほか、現地ランドオペレーターとの関係も深い。空港のハンドリング業務など空港関連サービスを持っている点も強みで、シナジーは非常に大きくなると期待している。