変化する香港、大橋・鉄道など開発続々、周辺エリアとプロモーションも

  • 2018年12月13日

▽中国とマカオと香港と-思惑交錯も、需要好調

香港特別行政区政府行政長官のキャリー・ラム氏

 今回が初開催となった「Hong Kong International Tourism Convention」では、政治的な思惑もあってか中国政府の「一帯一路」構想の観光産業への適応が強くアピールされたほか、港珠澳大橋などを活用し香港とマカオ、そして本土の都市をまとめて「グレーター・ベイ・エリア(GBA)」と称しプロモーションする意図も改めて示された。

 例えば一帯一路については、すでに世界人口の62.35%、そしてGDPベースでも3分の1をカバーするに至ったとの説明があり、冒頭の挨拶に立った香港特別行政区政府行政長官のキャリー・ラム氏も、「一帯一路は様々なキャパシティを構築しその恩恵を共有するためのもの」であると言及。

 その後のパネルディスカッションでは、キャセイパシフィック航空(CX)会長のジョン・スローサー氏も「2地点間の路線を開設しようとする際に、旅客需要が先に来て貨物が後に回ることは少ない」と語り、一帯一路に賛同する各国の間での物流の拡大から旅行産業も恩恵を受けるとの見通しを語った。

 こうしたアイディアは各国から集まった招待客に広く語りかけられたもので、日本市場で突然それに沿った展開が求められるものではないが、グローバルなひとつの流れとして意識しておいて損はない。

 またGBAについても、香港とマカオだけでなく深セン、東莞、惠州、広州、珠海、江門、中山、佛山、肇慶を加えた11エリアをまとめてプロモーションしようとするもので、そのアイディア自体は2泊ないし3泊の旅程が基本となる日本市場では必ずしも親和性が高いわけではない。

 しかし、それでも55キロメートルの橋や高速鉄道が大きな要素であることは間違いなく、香港政府観光局(HKTB)日本局長の堀和典氏は、まずはこれまでも協力してきているマカオとの関係を維持、強化する重要性に言及。菊間氏も「橋や高速鉄道が完成した今、これまでの延長で考えていくのはまずい」とコメント。知名度の高い香港とマカオに別の都市の可能性を付け加えることは短期間で実現可能ではないとの見方を示しつつ、GBA内の「丹霞地形」や広州のグルメなどに着目することで、新しい視点での商品開発は可能との考えを語った。

 なお、堀氏によると、2017年の香港への日本人訪問者数は前年比13%増で今年も約5%増で推移。2019年はさらに「2019日本香港観光年」であり、すでに約7社がそれに合わせたパッケージを設定。HKTBとしてもスターフェリーとトラムの無料チケットを通年で提供しているところで、さらに4月から6月のショルダーシーズン対策やMCIE、夏休みなどのテーマに合わせた新しいプログラムを提供していきたい考えだ。また、観光年を機会として修学旅行にも力を入れていきたいという。