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HIS、18年度売上は過去最高-19年は海旅とM&Aで8000億円めざす

  • 2018年12月11日

19年度は増収増益、旅行事業は売上高7000億円めざす

 19年10月期の連結業績では、売上高は7.9%増の7860億円、営業利益は11.0%増の200億円、経常利益は8.0%増の210億円、当期純利益は0.3%増の110億円を予想する。12月11日に開催した決算発表会で、HIS代表取締役会長兼社長の澤田秀雄氏は「気持ちとしては、売上高でなんとか8000億円を超え、2桁の10%増をめざしたい」と意欲を話した。

 19年度については、海外旅行市場は引き続き成長するとの考えのもと、売上増をめざす。澤田氏は「旅行事業は5、10年後はわからないが、数年は第1の柱であり続ける」と語るとともに、「大型M&Aを検討しており、それを加えれば8000億円の達成は楽勝では」との考えを示した。

 旅行事業については、19年度で7000億円、20年度で8500億円を目標に掲げており、自社での取り組みに加え、M&Aを積極的に実施する方針。日本発の海外旅行はハワイとヨーロッパ、クルーズに注力。国内旅行では沖縄での展開を強化する。さらに、日本人をターゲットにMICEやBTMなどの法人旅行事業を強化。訪日事業も自社バスツアーを拡充する。

海外発海外強化、欧米ターゲットにM&A

 海外現地法人による海外における旅行事業については、日本人の現地での受入事業に加え、訪日旅行を含む海外発海外旅行などの「ノンジャパニーズ」の拡大に注力する方針。取締役常務執行役員の織田正幸氏は、売上高のうちノンジャパニーズの割合は10%未満であることを説明。「海外での旅行事業では、5、6年後に(現在の4倍にあたる)売上高1兆円をめざしているが、このうち半分の5000億円はノンジャパニーズにしたい」と意欲を示した。

 今後は成熟した旅行市場と位置づける欧米でM&Aを推進。ターゲットはオペレーターや旅行先のインフラコンテンツを提供する会社などを挙げた。未成熟市場と位置づけるアジア・中東については、HISのネットワークを活用した自社での需要の取り込みに注力する。

ハウステンボスは訪日クルーズに期待-新規に銀行業参入を検討

 ハウステンボスグループについては、澤田氏は九州の人口が減少傾向にあることを説明し、「新しい戦略として訪日クルーズで100万人を呼び込みたい」と意欲を語った。アジアからの訪問者を増やすための大型イベントを積極的に展開し、継続的な成長をめざす。また、12月21日に開業する変なホテル3号棟には、新しい太陽光発電技術を導入し、コスト削減に努める。

 ホテル事業については、自社運営やM&Aなどにより、19年度中に5ヶ国に38軒のホテルを開業。年間で約200億円の設備投資を続け、23年度中に100軒の運営をめざす。澤田氏は「10年後には1000軒の運営をめざしたい」と意欲を語った。

 九州産交グループについては、現在熊本県桜町で延床面積16万330平方メートルの大型商業施設を開発中。720億円を投資しており、9月に開業する予定で、開業後の20年度は売上高が31億5000万円、営業利益が21億8000万円まで拡大する見通し。エネルギー事業については、19年秋をめどにバイオマス発電所を建設。HTBエナジーで電力販売を強化する。

 新規事業については、時期は明言しなかったが銀行業への参入を検討していることを明かし、「店舗はコストがかかるのでスマホで解決できる銀行にする」と、インターネット銀行を想定していることを説明。旅行代金をクレジットカードで支払う旅行者が多いことに触れ、「(銀行業参入により)クレジットカード会社に支払う手数料の問題も解決でき、いろいろな意味でメリットが出る」と話した。