全日空、羽田/ウィーン線開設の背景に「欧州線の好調」、ビジネス需要に期待
アウト回復とともにインも需要増
OS成田便と羽田発着・早朝到着で差別化
旅客はレジャーとビジネスで5対5、乗継需要にも期待
羽田/ウィーン線の運航機材はB787-9型機で、座席数はビジネスクラス48席、エコノミークラス167席の計215席。搭乗率は約75%となる見込みだ。
客層としては、レジャー客とビジネス客で5対5を想定している。深夜便の羽田/フランクフルト線ではビジネス客のファーストクラスとビジネスクラスの搭乗率が高いことから、同じ深夜便のウィーン線でもビジネス客の利用は多いとの見通しだ。松崎氏は、今年の7月に日本とEUが日EU経済連携協定(EPA)を締結したことで、日欧間の人とモノの動きもさらに活発になる可能性があるとし、ビジネス客のさらなる増加に期待を示した。
一方でウィーンへのレジャー需要については、「一時期よりも日本人観光客は減っているが、就航を機にもう一度盛り上げていきたい」と意欲を示した。19年は日本とオーストリアが正式に外交を開始して150周年を迎えることから、2国でさまざまな交流事業が計画されているところ。NHとしてもオーストリア政府観光局と協力しながら、レジャーの需要喚起に努めていきたい考え。
また、ウィーン行きと乗継客の比率は、フランクフルト線やミュンヘン線と同様に5対5を見込む。ウィーン以遠として、中欧や東欧、イスラエルなどへの乗継を期待しており、松崎氏は「ビジネスでもレジャーでも路線がつながっていることは大きい。飛ばすことで需要もついてくるだろう」と自信を示した。
来春のOSデイリー化については「共存は可能」
OSは夏ダイヤの期間限定で成田/ウィーン線を運航しており、19年も3月31日から10月27日まで運航する予定。当初は週5便だが、4月30日からは2便増やしてデイリーで運航する。NHは同路線でコードシェアを実施することから、東京/ウィーン線は来夏ダイヤで最大週14便となる。
OSは、16年9月に同路線を一旦運休した経緯があるが、松崎氏は「その頃とはマーケットの状況が違う」と説明。ダブルデイリーとなるが、OSの成田発は13時35分発で、NHの羽田便とは時間帯が異なるため、「ダイヤが最大の差別化になる。共存は可能」との認識を示した。加えて、行きはNHの羽田線、帰りはOSの成田線など2社の路線を組み合わせることで、利用者の選択肢の幅が広がるとメリットを語った。
なお、19年以降の欧州線の計画については、「20年の羽田発着枠拡大も含めて、まだ白紙」と話すにとどめた。NHとしては、成田と羽田の「デュアルハブ・ネットワーク」を堅持しつつ、国際線戦略全体としてホワイトスポットへの路線拡大を検討していく方針だ。