KNTの「Webファースト」宣言、新会社トップに聞くその後

Webファーストから「Webプラス」へと変化
メイト・ホリデイとクラツーのサイト統合の行方は

-デジタルパンフレットについてはどのような取り組みを進めていますか
瓜生氏瓜生 デジタルパンフレットの活用についても重要視しており、今後はすべての商品のパンフレットをデジタル化する。また、各地から出発しているクラツーのバスツアーのパンフレットなどはウェブサイトにアップするだけでなく、地域の営業所が印刷して店頭に並べられるようにもしていきたい。試験的に、すでに神奈川地区の近畿日本ツーリストの店舗では、クラツーのバスツアーのデジタルパンフレットを店舗印刷し、店頭に並べている。

-リアル店舗での販売とウェブ販売との関係は、今後どのように変化しますか

瓜生 お客様は宿泊などの単品商品のためには店舗に足を運ばなくなるだろうし、国内旅行も単純な商品はウェブ販売中心になるのではないか。海外旅行の複雑な商品は引き続き店頭販売での需要が高いと思うが、いずれにせよ店舗はコンサルタントの業務が中心になっていくので、KNT-CTとしては当面、店舗数を維持する方針だ。お客様が来店後にウェブで商品を購入した場合は、会員であればその方を特定できるので、売り上げを店舗につけるようにする。

-KNT-CTウエブトラベルの社長に加えて、KNT-CTの「WEB戦略部長」も兼務されています。グループ全体でのウェブ関連の取り組みについてもお聞かせください

瓜生 KNT-CTウエブトラベルは東名阪だけを担当しており、その他の地域については各地域会社が、それぞれウェブ専用の宿泊商品などを造成し、「近畿日本ツーリスト」の各地域ページで販売している。WEB戦略部はその両方を管理する横串の機能を持ち、同じ方向性で事業を展開している。

 また、私はKNT-CTの経営戦略統括部に新設された情報セキュリティ対策室長も兼務している。対策室には大手セキュリティ会社から専門家2名に常駐していただき、1からシステムのセキュリティを見直したところだ。KNT-CTは東京オリンピックの公式パートナーなので、万全を期していきたい。

-中期経営計画では「最終年度までにメイトとホリデイ、クラツーの販売サイトを統合する」とありますが、進捗は

瓜生 まだ検討を開始した段階で、単純に1つに統合すると売上高が落ちることが予想されるので、まずは「買い回り」ができる仕組みを作るのが良いのではと考えている。現在は「近畿日本ツーリスト」と「クラブツーリズム」の2つのウェブサイトがあるが、シングルサインオン(1つのIDとパスワードを入力して複数のウェブサービスなどにログインする仕組み)を使って、例えば「近畿日本ツーリスト」ではクラツーの商品も買えるようにし、「クラブツーリズム」では現在の商品に加えて、JRと宿泊のダイナミックパッケージなどを買えるようにするなど、両サイトを存続したまま実質的には統合する。マルチブランドで同じ商品を展開して、少しずつ商品のバリエーションを変えていければ、それぞれに存在価値が出てくるのではないか。

-現在の課題と当面の目標をお聞かせください

瓜生 課題はシステムエンジニアを中心とする人材確保で、やりたいことは色々あるが人材不足のために時間がかかっており、そこがリスクになっている。

 目標は、中期経営計画のなかでも触れている最終年度での(ウェブ事業の)黒字化だ。完全な黒字化が達成できれば、色々な冒険もできるのではないかと考えている。

-ありがとうございました