HISが池袋の新コンセプト店公開、自社カフェで旅行需要喚起に注力

  • 2018年11月1日

初の自社運営カフェ   エイチ・アイ・エス(HIS)は11月1日、池袋のパルコ本館に翌2日に開業する「H.I.S. The ROOM of journey」のメディア向け内覧会を開催した。同店舗は「旅のはじまりは、ここから」をコンセプトに、旅行者の部屋や家をイメージして設計。これまでHISはパルコ本館の6階に「H.I.S.池袋パルコ営業所」を出店していたが、2日以降は本館のM2階に移転する。面積は旧店舗の約6倍の480平方メートルに拡張した。

家族向けのベッドルーム。後ろのキッズルームが見えるように壁に鏡を設置した  店内は「エントランス」「レセプション」「リビングルーム」「クローゼット」「ベッドルーム」「キッズルーム」と、自社運営のカフェ「キッチン」とカフェスペース「スタディ・ワークス」に分かれている。旅行相談者については、「レセプション」でニーズにあった最適な部屋に案内する。

 内覧会で登壇した、HIS関東営業販売事業部関東北エリア池袋パルコ営業所所長の高橋佑太氏は、6階の旧店舗では平日で40組から50組、土日祝日で75組から80組の来店者があったといい、「移転拡張により面積もスタッフも増えた。これまでの1.5倍の集客をめざしたい」と意欲を語った。20代から40代の女性を主なターゲットに、幅広い客層の取り込みをめざす。

高橋氏 高橋氏は本誌の取材に応え、「OTAが台頭するなか、旅行予約業務のみを扱うような事務的、機能的な店舗は今後衰退していくと思うが、お客様のニーズを掘り起こす場所として、店舗は今後も必要」と店舗の意義を強調。「カフェの利用だけでも構わないので、旅を計画していないような人が気軽に立ち寄って旅行の計画を練るなど、旅のきっかけを作る場所になれば」と語った。今後は大都市の主要駅を中心に同じコンセプトの店を増やしていきたい考えで、「すでに数ヶ所で検討を始めている」と話した。

 同社の旗艦店である「H.I.S.池袋本店」との棲み分けについては、「池袋本店はシニア層や旅行への目的意識が高い旅慣れたお客様が多い。H.I.S. The ROOM of journeyは、旅行にいくきっかけづくりのための店なので、旅行について迷っているお客様がメインで、年齢層も若くなるのでは」と話した。

カフェスペース「スタディ・ワークス」は全24席。電源コンセントを用意した。WiFiも利用可能  HISはこれまでも猿田彦珈琲とコラボレーションした店舗などを開設していたが、自社運営カフェを設置するのは今回が初めて。ハワイの「レインボーハニー」を使ったドリンクなど、HISの海外支店の情報を活かし、海外で流行している飲み物や軽食などを提供。「スタディ・ワークス」はHIS社員が選んだ200冊以上の旅行関連書籍を自由に閲覧可能できる。

 カフェで提供するドリンクや軽食は今後増やす考えで、他の飲食店などとのコラボレーションも検討するほか、旅行関連商品の物販も実施する予定。このほか、「スタディ・ワークス」では月に数回旅に関するイベントなどを開催。11月にはサクラクレパスとコラボレーションしたアートイベントを開催する。

キッズルームは土足厳禁。おもちゃに加えDVDなども閲覧できる  このほか、同氏は旧店舗には20代から40代までの未就学児を連れた夫婦も多く訪れていることから、子供連れの家族向けの接客スペースとして「ベッドルーム」と、子供が遊べる「キッズルーム」を用意したことを説明。ハネムーナーなどに対しては、ブースごとに仕切りを設けてプライベート間を出した「クローゼット」で、料金の支払い、現地ツアーのみの購入など、スピーディな対応を求める訪問者には「エントランス」で対応するという。