ハワイ、19年は「激動の年」-オールジャパンで需要回復へ、方針発表
JTBとの共同キャンペーンやNHのA380など話題豊富
持続可能な「レスポンシブルツーリズム」への転換も
キラウエア火山以外の商品造成へ全力サポート
また「Global Tourism Summit」では、ハワイ島観光局局長のロス・バーチ氏が日本のメディアのインタビューに答え、ハワイ島の現状と今後の方針を述べた。
バーチ氏によるとキラウエア火山の火山活動は現在休息状態にあるといい、「マグマの地表への噴出」「地震発生など火山全体の活動状況」「地表の隆起」「ガスの噴出量」の4つの指標の全てで基準を下回っており、住民も通常の生活に戻り安全な状態であることを改めて強調。9月22日からは国立公園の一部も開園しており、例えばボルケーノハウスも訪問することができ、10月中旬には宿泊もできるようになる予定という。
さらに噴火時に物資を置いていたパホアという街にビジターセンターを建設する予定で、「新しいビジターセンターができれば商品造成の一助となるのでは」とコメント。なお、ビジターセンターは許可を取るのに時間がかかるため、まずは臨時の集合ポイントを作る予定だという。
バーチ氏は、「今までのハワイ島の商品はキラウエア火山がないと成り立たなかったが、逆にチャンスと据えて日系移民の歴史やコナやヒロの街並みなどを新しくプロモーションしていきたい」と意気込みを示した。また、HTJも19年の夏に向けて英語圏で人気のシュノーケリングができるバーベキュークルーズを日本向けに紹介していく予定だという。
なお、HTJがレジャーマーケット向けに掲げた8つの施策のうち「隣島プロモーション」でもハワイ島のリカバリーは重要テーマのひとつ。1月から8月までの日本人訪問者数の前年比は4.9%増の12万6728人と伸びているものの、噴火後の6月以降は前年比割れで推移している。HTJとしては噴火前のレベルに戻したいとして、旅行会社や航空会社と協力し、キラウエア火山以外の商品の強化のためのサポートをしていく予定で、19年は22万人をめざすという。
基調講演では例えば、「ハワイで始まる旅行業界の創造的破壊」と題し講演したBUZZPORT代表取締役PRODUCERの江藤誠晃氏が、従来の資本主義が崩壊しつつあり、今後はAIやビッグデータにより「デジタル資本主義」となっていくと予測。
ハワイでもウーバーに代表されるシェアリングエコノミーによって特にタビナカの環境が変わっていることを指摘し「旅行会社はオプションでライドシェアなどを商品化できない」ため、新しい発想が必要としてEIT(Emotional Interest Tour)を提唱した。
EITは江藤氏が提唱している旅行者の関心にコミットできるエモーショナルな体験を与えるツアーのことで、単に観光地に行くのではなく、旅行者一人一人に寄り添い感慨をもよおさせるような商品を作ることが今後必要であるとした。
このほか、HTJの発案により開催された高校生のディベート大会は世界8ヶ国から学生が集まり、日本からは立命館慶祥高等学校の生徒が参加。今年は「AIが観光業にもたらす影響」をテーマに活発な討論が交わされた。