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富裕層のニーズが多様化、誘致に向けネットワークを活用-ツーリズムEXPO

価値ある体験を求める富裕層が増加
多様なニーズへの対応で地域全体が協力を

「ネットワーク」作りで細かなニーズに対応
地方全体が協力したプロモーションを

今泉氏  パネルディスカッションでは、モデレーターの柏木氏が、訪日富裕層を誘客するための課題について問題提起。これに対し、今泉氏は地方での交通手段に不安を覚える訪日富裕層が多いことを紹介し、「富裕層は電車を降りて改札出た後、ロータリーでバスに乗るのではなく、プラットフォームまで出迎えの人が来ており、改札前でハイヤーに乗ってホテルに着く、ということを想像している人が多い」と説明した。そのうえで、地方でハイヤーを手配するのは難しく、タクシーの貸切手配にも苦労するという現状を語り、交通面の課題を指摘した。

 加えて、アレルギーや宗教上の問題などによる食事の手配に苦戦していることも語った。ミシュランの3ツ星に選ばれた寿司屋で、魚なしのベジタリアン向けのメニューを求める富裕層がいたことを例にあげ、こうした要望に対応できる寿司屋を紹介するなど、予め情報を得ていることが必要とした。

 今泉氏は、宿泊者に紹介するコンテンツはなるべく自分で体験するよう心がけているとしたうえで、「私達が認識していないことをカバーするために必要なのはネットワーク」と強調。レ・クレドールなどのネットワークにより、「信頼できる紹介先」を開拓するとともに、「現場に行けないコンシェルジュとして、各地にどれだけ一緒に力を寄せ合ってくれる人がいるか。地域一丸で訪日富裕層を歓迎する体制が整っているかが大切」と語った。

 高野氏も「地域のプレイヤー、キーマンと、急なお願いでも電話一本で受け入れていただけるようなネットワークづくりが重要」と語った。特に地方については訪日外国人の受入体制が発展途上であるとし、「他国の業者が一人勝ちの状況にあるが、そうではなく地域のプレイヤーが結束し、連携含めて皆がビジネスを成り立たせることが必要」と説いた。

村木氏  村木氏は「お客様がファンになって満足度が上がる観光地にしていかなければならない。それをするのが全国各地のDMOの役割」とコメント。各地の交通機関や富裕層向けの観光コンテンツについては、「交通事業者や観光事業者に、訪日富裕層をターゲットにすることがビジネスにとってプラスになるということを理解、認識してもらう必要がある」と話した。

 このほか、同氏は19年のラグビーW杯、20年の東京五輪と世界から注目される大型イベントが控えるなか、予算を投じた積極的な情報発信が必要と主張。ただし、「地域のDMOのみでの情報発信では、財源的な限界もある」と語り、地域の各プレイヤーが協力していく必要があるとした。