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「流通」のその先へ-GDS4社社長に聞く現状と今後
-GDS座談会・前編

四社四様の成り立ちと成長戦略
航空会社と旅行会社に新たな価値を

多くの人が、GDSと航空会社との間にはハレーションがあると思っています。それぞれのお考えをお聞かせください


トラベルビジョン代表取締役会長の岡田直樹



竹村 アマデウスは旅行会社と航空会社双方が顧客になっているため、日本において唯一、ハレーションがないGDSだと考えている。それぞれのビジネスの成長をサポートしていくという認識だ。

 オンライン化が進むと、直販が増えて旅行会社のシェアが低くなるのではないかという懸念があるが、実際のところ、旅行を手配する消費者にとって複数のウェブサイトを使い、航空券、ホテル、レンタカーなどを別々に予約するよりも、ワンストップでパッケージ化されたすべてを予約する方が楽に旅行手配ができるという現実もある。オンライン化で、旅行会社のビジネスチャンスは逆に広がっているのではないかと考えている。

 また、オンライン化が進むと旅行会社や航空会社はオペレーション効率が向上し、省力化とコスト削減がはかれる。そのコストを消費者に還元すれば、旅行の価格が下がり、旅行者数の底上げが期待できるのではないか。その視点から、アマデウスは両者に対してオンライン販売を最適化するソリューションを提供している。



東海林 GDSと航空会社との利害が対立しているわけではない。テクノロジーの進化によって手段が多様化するが、それだけ消費者や法人にとって選択肢が増えることになる。それに対応できるテクノロジーを持っているのは、双方にとって有用なこと。トラベルポートはそうした多様性に対応するテクノロジーを開発し続けている。



アクセス国際ネットワーク代表取締役社長の添川清司氏



添川 航空会社はGDSコストを払っているが、GDS側からするとそれに見合うシステムやサービスを開発しているという自負はある。

 とはいえ今後、航空会社はGDSコストを払う価値あるかどうか判断していくだろう。販売チャネルが多様化しているなかで、航空会社はコスト効率のいいチャネルを選ぶ。そのひとつは直販だろう。旅行会社以外でも、販売チャネルをいくつでもつくれる時代になっている。一方で、GDS側も消費者がどこから航空券を買うのが便利なのか、その指向を掴む必要があるはずだ。



植村 インフィニとしてもハレーションが起きているとは認識していない。世界最安のブッキングフィーを提供し、航空会社、旅行会社双方から満足度の高い評価をいただいている。航空会社にとって不満があるとすれば、GDSコストというよりも、細かい顧客データが取れないというところではないか。属性、購買傾向などのデータは宝物。それが差別化の大きな要素になる。