JTB総研がアドベンチャーツーリズムで協議会、阿寒・長野と連携

  • 2018年9月23日

(左から)JTB総研の野澤氏、JTBの高橋氏、ATTAのストーウェル氏  JTB総合研究所(JTB総研)は2019年4月、「日本アドベンチャーツーリズム協議会」を設立する。アドベンチャーツーリズム(AT)はアクティビティ、自然、異文化体験の3要素のうち2つ以上で構成される旅行のことで、JTB総研によると、長期滞在する富裕層が多く、収益性の高さが特徴。北米、欧州、南米では4500億米ドル(49兆円)の市場規模があるという。日本の市場規模は約2.3兆円で、このうち旅行関連支出は1.2兆円、アウトドア用具や装備などの「アウトドアギア」が1.1兆円。同協議会の設立により、日本でのATの促進の認知度向上と全国への普及促進に取り組むとともに、地域の活性化や訪日外国人の誘客につなげたい考えだ。

 協議会はシアトルに拠点を持つの世界的な組織団体「Adventure Travel Trade Association(ATTA)」のCEOなどを外部アドバイザーに迎え、国内でATを積極的に推進ししている、阿寒アドベンチャーツーリズムと長野県観光機構とともに立ち上げる。JTB総合研究所は事務局を担当するとともに、自治体や観光関係者のコンサルティングを実施する。

 協議会の主なメンバーはATを推進する地方自治体やサプライヤーなどの民間事業者となる見通し。協議会では関連省庁や自治体、地域の観光関係者向けのセミナーの開催による啓蒙活動、海外のAT市場へのプロモーション、ATを軸とした長期滞在旅行促進のための受入体制の支援、ATTAメンバーである海外ツアーオペレーターなどへの情報発信と交流、旅行商品の流通支援などを実施。日本のAT観光地の紹介ウェブサイトを運営するほか、AT認証制度の構築やガイドの育成などに取り組む。

 9月21日にツーリズムEXPOジャパン2018の会場内で開催した記者会見で、JTB代表取締役社長の高橋広行氏(※高ははしご高)は「ATはハードな冒険旅行のイメージあるが、近年は欧米を中心に、雄大な自然でのハイキング、ラフティングなどを楽しむソフトアクティビティに変化している」と説明。「日本での取り組みは開始されたばかりだが、地域固有の自然や文化を守りながらATを推進することで、訪日旅行者の地域への分散を促すとともに、付加価値の高いサービスを提供することで消費拡大に寄与していきたい」と意欲を示した。

 JTB総合研究所代表取締役社長の野澤肇氏も「ATは成長性、収益性、地域との親和性が高い」と強調。「旅行の単価が高く、その65%が地域経済に貢献するため地域にメリットがある」と語った。今後は阿寒を中心とした道東と長野県の中山道を中心にATの促進に取り組む。阿寒についてはATTAの世界大会「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット」の誘致もめざす。

 このほか、記者会見ではATTAのCEOを務めるシャノン・ストーウェル氏が登壇。「日本はATにおいてはまっさらな状態だが、例えば北海道にはさまざまな自然の側面がある」と語り、日本の潜在性に期待を示した。

活動イメージ(プレスリリースより)