週間ランキング、自然の猛威に心乱れる1週間ー2位は元HIS平林氏のhandy
[総評] 今週は、台風21号によって大きな被害を受けた関空に関する記事が1位となりました。「連絡橋にタンカーがぶつかったらしい」と聞いた時は、本当に無意識にかすった程度を想像してしまったわけですが、実際に船が橋に食い込んでいる映像を目にした時は、2011年に津波の中継映像を観た際の感覚が蘇ってきました。
そしてそれから2日も経たずに北海道で震度7の地震が発生したわけです。台風と地震、いずれかでも被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げ、また亡くなられた方々のご家族に心からお悔やみを申し上げます。今夏は、大阪府北部の地震と西日本での豪雨が間髪を入れずに続いた上に今回の台風と地震まで発生し、どうも自分の許容量を超えてしまっているといいますか、文字通り心が千千に乱れています。
また、こうした天災が発生する度に思うのは東北、特に福島についてです。先ほども触れた東日本大震災の揺れと津波の影響も甚大であったわけですが、原発事故によってさらに多くの方々が長期間に渡って人生を狂わされることになりました。原発事故を巡っては「想定外」という言葉が耳目を集めていますが、百歩譲って「フクシマ」以前の世界ではそれが許されたとしても、次が認められてはならないでしょう。
私の妻は島根県の松江出身ですが、松江は日本で唯一、県庁所在地に原子力発電所がある場所です。島根県はまだ数度しか行ったことがありませんが本当に素晴らしい場所で、山陰の豊富な食材に恵まれた彼の地は、食べて飲むことが好きな人間にとってはまさに天国です。しかし、その松江にある島根原発では新たに3号機を稼働させようとしているそうで、ほぼ部外者ではありますが2011年当時を思い出すと非常に暗澹たる気分になります。
今年ほどの猛暑でも電力不足が話題にならず、さらに人口減少が予測されるなかで本当に必要なのか、あるいはそもそも「想定外は起こりうる」ことが誰にでも分かったのになぜそれを前提にしないのか、などと不勉強ながら思うことは多々ありますが、なんにしても観光に携わる身としては、日本の、あるいは世界のどこかに、あのような形で立ち入ることのできない場所をこれ以上増やすような可能性には断固反対するべきではないかと考えています。
なお、関空と北海道の話題については、従来の災害時ほど誌面を割いて情報をお伝えできていませんが、これはテレビや新聞などがこぞって情報を発信しているなかで、我々が似たような取材をしてもあまり読者のお役に立たないだろうと判断したためです。一般メディアの手からはこぼれ落ちるけれども業界関係者には必要、というような情報は今まで以上に積極的にお届けしていく所存ですのでご理解いただければ幸いです。
今週はこれ以外の記事にあれこれ言及する気分になれませんが、天災がなければ1位になっていたのはエイチ・アイ・エス(HIS)で代表取締役社長を務めた経歴を持つ平林朗氏がCEOとして参画したhandy Japanの記事でした。以前にも当欄で書きましたが大手のHISで代表を務められた方が新興企業の舵を握るというのはなかなか刺激的で、もっと後に続く例が出てきてほしいところです。
また、この記事をHISの現役社員の方がどう読まれたか、その辺りも機会があれば是非お聞きしてみたいと考えています。(松本)
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