「手のひらの旅行会社」へ-ソフトバンク提携のhandy、元HIS平林氏参画も
タビナカ商品を年間8600万人に訴求
旅行会社にもスマホ貸出検討、差別化の一歩へ
-平林氏をTravel Agent領域のCEOに指名しました
勝瀬 handyは「手のひらの旅行会社」になる。宿泊施設の各客室に旅行会社があるようなもので、まさにHISという旅行会社の代表取締役社長をしていた平林さんは適任だと思う。平林さんはフットワークが軽く、柔軟な頭を持っている。CEOとして俯瞰的に見て、何をするのかを意思決定していってほしい。
平林朗氏(以下敬称略) 勝瀬さんとのお付き合いはHISの代表取締役社長時代から。勝瀬さんがブッキング・ドットコム・ジャパンにいらしたとき、Booking.comが急成長するなか「どうしてそんなに急成長できるのか?」と聞きにいったことが始まりだと思う。
HISでは約8年代表取締役社長を務め、澤田秀雄さんが社長に復帰してからは、取締役副会長兼M&A本部長グローバルオンライン事業担当や、HISホテルホールディングスの代表取締役社長などを務めていた。社長に就任したのは40歳で、退職したのは50歳。HISで社長、その後は副会長までやらせていただいたが、50歳で「ゴールにあがった」という思いもあり、改めて外に出て、HISで学んだことを活かして自分の力でやってみたいという気持ちになり、退職を決めた。その後はゴルフ運営会社のアコーディア・ゴルフの代表取締役社長を務めたが、そこを退職したタイミングで勝瀬さんからご連絡をいただいた。
自分自身、今年の6月にホテル事業会社として「JHAT」を立ち上げていることもあり、handyとはシナジーが見込めると思っている。今年の10月27日に第1号店として豊洲に「hotel MONday豊洲」を開業して訪日外国人の取り込みをめざす予定だが、全263室の客室にはhandyを置く。
勝瀬 handy Japanでは副業を推進しており、自分自身もパソナの顧問や民泊施設の取締役などを務めている。平林さんのようなマネジメントエグゼクティブの場合、いくつかの軸足がある方が仕事が捗る。ご自分でホテルをお持ちなので、ホテルのオーナーの気持ちや必要なシステムが分かると思う。
-Travel Agent領域について、今後の展開を教えてください
平林 handyにとって「タビナカ」が成長領域であり強みだと思う。Travel Agent領域ではアクティビティなどを販売することになるだろう。アクティビティは旅行前に購入する人も多いが、現地に来てから買う人もいる。
アクティビティ市場はさまざまな旅行会社やOTAなどがねらっているが、旅行中の旅行者にリーチすることはなかなか難しい、というのはどこも抱えている悩みだと思う。handyのような旅行者との旅行中のタッチポイントはこれまでになかった。我々はプラットフォームとして、アクティビティやテーマパーク・交通機関などのチケットを販売している旅行会社やサプライヤーの方々と協力していきたい。興味のある旅行会社やサプライヤーにはぜひにはぜひお声がけいただきたい。
勝瀬 handyは旅行会社と競合するのではなく、旅行会社のタッチポイントを増やすと考えてほしい。我々は旅行会社をサポートしたいと考えている。
販売する商品は、handyにアプリとして実装することや、handyで提供する「City Guide」とリンクさせることを検討している。「City Guide」はホテル周辺の観光スポットやグルメ、土産情報を掲載しており、こうしたページからうまくつなげていきたい。
平林 レストランの紹介もしたい。例えば豊洲のホテルに宿泊した訪日外国人が、月島でもんじゃを食べたい、となったとき、旅行者にはhandyでレストランを探し、内蔵された地図アプリを見ながらレストランに行き、handyで決済する。すべての支払いは宿泊料金との一括精算できるようにする。宿泊施設にコミッションが入る仕組みにすることで、施設にとってもメリットがあると思う。
勝瀬 handyで売るものは、訪日外国人にアプローチしたい企業のものであれば、アクティビティでもお土産物でも免税品でも何でも良い。旅行者しか利用できない端末なので、見ている人は全員が旅行者。テレビに広告を出すような感じで、handyに広告を出稿してほしい。
平林 handyでは利用者の行動履歴、購買履歴、ウェブサイトの閲覧履歴などのデータをとることができる。外国人の動向や特性が分析により分かるようになるのではないか。ソフトバンクの持つビッグデータと合わせた活用も検討している。