ハワイ島噴火、需要回復へプロモ本格化、火山観察の新体験も
ハワイ州観光局(HTJ)は、キラウエア火山噴火の影響を受けるハワイ島への旅行需要回復の取り組みを本格化する。ハワイ島では16年のハワイアン航空(HA)、17年の日本航空(JL)と直行便が相次いで就航したところで、このため日本からの訪問者数は増えてはいる。しかし、当初の目標からすれば影響は否めないといい、今回のプロモーション以外にもメディア露出の共感などを通して通年で18万人、19年に日本人訪問者数23万人の達成をめざすという。
7月19日にはHTJが午前中に旅行会社向け、午後にメディア向けの説明会も実施。メディア向けの回ではハワイ島観光局局長のロス・バーチ氏、HTJ局次長のミツエ・ヴァーレイ氏のほか、ハワイ大学ヒロ校地質学科客員教員及び米国地質観測所ハワイ火山観測所准研究員のリック・ハズレット氏、日本航空767運航乗員部第一路線室主席機長の板垣英樹氏、ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)ハワイアン・カルチャー・ディレクターのカラニ・カアナアナ氏が登壇し、ハワイ島の現状について説明した。
ヴァーレイ氏によると、ハワイ島は面積が四国の半分程度と大きく、今回の噴火で影響を受けている地域はそのうちの0.2%に留まり、コハラやコナからの距離も100キロメートル以上離れているという。
バーチ氏も、「火山活動は35年間続いてきており、今回の噴火は予測されたもの」であると語り、住民たちにとっては日常と変わらないと説明。その上で、死者が出ているわけでもなく、溶岩で避難を余儀なくされた住民もいるが避難先は7キロメートルしか離れておらず、「観光は完全に日常通り」であると強調した。
一方、ハズレット氏は学術的な観点から現状について説明したほか、自身もヒロに住む立場として生活になんら影響はなく、世界一きれいといわれる空気も従来と変わらないと語った。有害なガスも発生はしているものの、避難区域以外は健康被害を懸念するレベルではないという。このほか板垣氏もパイロットの立場から、コナ空港側から見ると今回の避難区域は4000メートル級の山の向こう側に位置し、溶岩も噴煙も一度も目にしておらず匂いすら感じたことがないと証言した。
▽HTJ×JL×HAの共同キャンペーン-噴火を旅行目的化する試みも
ヴァーレイ氏によると、HTJは5月の発生直後から情報の収集と発信に努めるフェーズ1、6月にハワイのファン層に働きかけるフェーズ2と位置付けた活動を展開。今後はフェーズ3として広く需要喚起に取り組む。
その一環として、HTJは7月20日から9月30日にかけてJL、HAと共同で「今こそハワイ島に、行こう。」キャンペーンを実施。3者の共同プロモーションはこれが初。5月のキラウエア火山噴火によって島全体が打撃を受けているような印象が広がるなかで、正確な情報発信などによりアピールし需要回復をめざす。
具体的には、トミーバハマ銀座店でロコモコなどのメニューを提供するほか、ハワイからパフォーマーが来日してフラやウクレレのショーやワークショップを実施。また、TwitterとInstagramを活用したキャンペーンもおこなう。
さらに今後は、火山活動の観察など噴火を逆手に取ったプロモーションにも取り組む計画。状況が落ち着くことが条件となるが、安全に自然の驚異を体験できるようにすることで、逆に今こそ行くべき理由として打ち出していく考えだ。