歴史と文化、自然が織りなす魅力にあふれたケープタウン
南アフリカ最古の街、郊外ではゲームドライブも
植物園、ワイナリー、ショッピング…
近郊や市内にも見どころはたくさん!
ケープタウンは、市街地近郊にも見どころが多い。ケープ植物区系保護地域内にある「カーステンボッシュ国立植物園」は、世界で唯一世界遺産の中にある植物園だ。テーブルマウンテンの麓に位置する広大な園内では、南アフリカの国花プロテアをはじめ、南アフリカ固有の植物を多数見ることができる。それに園内を散策していると、不思議と気持ちが和らいでくることを実感した。ここは草木や花の愛好家だけでなく、バード・ウォッチングを楽しむ人々にも高い人気があるそうだが、我々日本人が訪れても自然そのものといった植物園はとても興味深い観光素材となるだろう。
また2014年には、約430本もの樹木の合間を縫うように伸びる、全長130メートルの空中歩行者通路「キャノピー・ウォークウェイ」(別名ブームスラング)が完成した。この通路からは、立体的に木々の合間を散策できる。
ケープ植民地を設立したヤン・ファン・リーベックは、この地にぶどうの苗を植えた。それが今日、世界的に注目されている南アフリカワインの祖となったのだ。南アフリカワインの産地として、ワインランドにある町、ステレンボッシュやフランシュフックなどが有名だが、今回はケープタウンに近いワイナリー「グルート・コンスタンシア」を訪ねた。ぶどうの品種やワインの特徴、この地の歴史などの説明を受けながらテイスティング(有料)を楽しむ。
ちなみにケープタウンがワイン産地になった理由として、「インド洋と大西洋がぶつかることによって、ぶどう栽培に適した冷たい空気が流れ込んでくるから」との説明を受けた。南アフリカ固有の品種であるピノタージュは、ぶどうの風味が豊か。またソーヴィニヨン・ブランはこの地の気候にもっとも適していて、良い味わいのワインがつくれるそうだ。どちらもぜひ味わってもらいたい。
最後にさまざまなショップやレストランが集うベイ・エリアを紹介したい。ケープ湾の最奥に位置し、入り江を取り囲むようにヨーロッパ的な景観と建物、遊歩道があり、その背景にはテーブルマウンテンが望める。ガードマンを配置して治安を確保しているため、安心して過ごせる点も嬉しい。巨大なショッピングモール「ビクトリア&アルフレッド・ウォーターフロント」では、世界的な高級品から南アフリカ産のグッズ、お土産にぴったりな小物やお菓子などが購入できる。
モール内にあるレストランでの夕食も経験したが、橙色の灯りが港を美しく彩り、食事が一層美味しく感じられた。昼間は郊外でワイルドな自然を堪能し、夜はこうした場所でロマンティックに食事を味わうようなツアー内容にすれば、南アフリカのいろいろな面を体験することにつながるだろう。
日本から南アフリカへの旅行者数は、2017年通年で前年比6.2%増の2万7410人だった。ツアーの日数や価格から旅行者はシニア層が中心だが、この目で見たケープタウンには若年層はもちろん年齢に捕らわれない魅力的な素材がたくさんある。確かに南アフリカは遠い。しかし、それをはるかに上回る、豊富な観光素材がある素敵なデスティネーションだと感じた。
取材:竹井智