現地レポート:ドレスデン、観光客を惹きつける歴史と新たな魅力
バロック様式の旧市街を散策
新市街で最新のアートも
郊外の古城ホテルも魅力の1つ、ドイツ東部の観光ハイライトに
ドレスデンの魅力は、トラムで数十分走っただけで豊かな自然が広がるところにもある。エルベ川の北側、新市街から東に進むと、川沿いの小高い丘に森が広がる。その中に静かに佇むのが、古城ホテルの「シュロス・エックベルク」。1861年に当時の大富豪ヨハン・スーシャイによって建てられたネオゴシック様式の城で、85年からはホテルとして使われ、ドイツ内外からの観光客に親しまれている。宿泊せず、ホテルの周りに広がる森を散策し、レストランでエルベ川を見下ろしながらティータイムを愉しむ、といった過ごし方も人気だ。
近くには「アルブレヒツベルク城」と「リンクナー城」があり、エルベ川に落ち込む肥沃な斜面にはぶどう畑が広がり、ここでしか味わえないミュラー・トゥルガウ品種の白ワインを造っている。この一帯は2004年に「ドレスデンのエルベ渓谷」として世界文化遺産に登録されたが、新たに近くに建設されたヴァルトシュレスヒェン橋が景観を損ねるとして、09年に登録を外された。しかし、この一帯の文化的価値と豊かな自然は一切変わっておらず、訪れる価値も以前と同じままだ。
ドレスデンの日本人宿泊数は、ピークだった2000年の4万7000泊から17年には2万7281泊に落ち込んでいる。ドレスデン観光局マーケティングマネージャーのクリストファー・ミュンク氏は「ドレスデンは日本からの観光客を待っている。ぜひ、この街のよさを日本に伝えて欲しい」とGTM参加の旅行会社に呼びかける。
旧市街を歩いていると、ところどころで日本からのツアー客や、日本語のガイドブックを持ったFITに出会った。ドレスデンは日本ではまだまだ知られていないが、ベルリン、ライプツィヒなどを含めた東部ドイツの周遊、あるいは東欧の周遊に組み込みこめば、旅のハイライトになるはず。それだけ観光デスティネーションとしてのドレスデンは奥深い。
取材:山田友樹