現地レポート:ドレスデン、観光客を惹きつける歴史と新たな魅力
バロック様式の旧市街を散策
新市街で最新のアートも
街歩きが楽しい新市街、博物館も一見の価値あり
新市街の魅力は都市としての活気。斬新なデザインの建築が街の中に溶け込み、地元の人たちが行き交う通りを歩けばドレスデンの日常生活に溶け込める。観光スポットではないが、観光のハイライトにもなりうる場所も多い。
そのひとつが、「フォルクスワーゲン・トランスペアレント・ファクトリー」。世界的に珍しい街中にある自動車工場で、その名の通りガラス張りの「透明工場」だ。2002年に工場として開設され、16年には電気自動車のショールームも備える施設として再オープンした。一般的な工場のイメージを覆し、静かに整然と、環境に優しく、機能美さえ感じられる工程で1日72台が出荷されている。
「ドイツ軍事歴史博物館」は、まずその異様な建築に目を奪われる。もともとは1870年代に建てられたドイツ軍の武器庫で、その後はザクセン、ナチス、ソビエト連邦、東ドイツと統治者が変わるごとに、それぞれの博物館となった。ドイツ統一にともない89年には一時閉鎖されるが、建物正面に新たにガラス張りのモダンな建造物を増設して再生。2011年には軍事歴史博物館として再オープンした。この博物館の面白いところは戦争に関する展示手法。たとえば、動物と戦争、音楽と戦争、ファッションと戦争などライフスタイルと戦争との関わり合いで悲劇を伝えている。
新市街にはインスタ映えするスポットがいくつもあり、個性的なギャラリー、レストラン、バーなどがドレスデンの最新のトレンドを発信している。狭い路地のなかにある「クンストホーフ・パッサージュ」はアーティストたちが集まる「芸術村」。5つのホーフ(中庭)が迷路のようにつながり、それぞれ「動物」「変化」「エレメント」「光」「色」をテーマに建物と庭自体が芸術作品となっている。
この空間だけ、外とは異なる世界で、ユニークでカラフルな造形に思わずカメラのシャッターを押す頻度が増してしまう。中庭にはカフェ、建物にはさまざまな工房やバーが入り、今では新市街随一の観光スポットとなっている。