トップインタビュー:ベストワンドットコム代表取締役社長の澤田秀太氏

マザーズに船出、クルーズ市場拡大の波に乗り
「独自のビジョンで新たなビジネス」

-ご自身のこれまでの経歴についてもお聞かせください。経営者として、父親である秀雄氏の影響は受けていますか

澤田 最初は旅行会社ではなく証券会社に入社した。「顧客と接する営業こそ仕事の基本」との考えから、営業について多くを学べると思った証券業界からキャリアをスタートした。

 父と事業について話をすることはほとんどない。父も素晴らしい経営者だが、ファーストリテイリングの柳井正氏やサイバーエージェントの藤田晋氏など、さまざまな業界に素晴らしい経営者がいる。多くの方々の良い部分を吸収した上で、なおかつ物真似ではないオリジナルなビジョンを持ちたいと思っている。

 現状ではHISに入ることは、考えていない。新たなビジネスをベストワンドットコムで作り出すことに集中している。


-プライベートでも旅行はお好きですか

澤田 もともと旅行は好きで、現在も仕事での旅行に加えて、年に2、3回はプライベートな旅行をする。これまでの海外旅行では、歴史を感じるベニス、バルセロナ、マルセイユ、パリなどが特に印象に残っている。若いうちにヨーロッパに行ってみることは、良いことだと思う。

 船旅も昔から好きで、学生の頃には何度か日本発着クルーズに参加した。卒業旅行では友人と福岡発の安価なクルーズに参加し、とても楽しかった思い出がある。そのような実体験も踏まえて、クルーズの素晴らしさを提案していきたいと思っている。


-若き経営者として、日本の旅行業界の課題はどのようなところにあると考えていますか

澤田 まず感じるのは、新しい旅行のスタイルが少ないこと。「体験型」や「コト消費」とはいっても、もっと多くのユニークなコンテンツが出てこないと、市場は活性化しないと思う。どの業界でも同じだが、価格よりも「企画力」や「創造力」が求められているのではないだろうか。弊社も販売に力を入れる一方で、企画力を磨かなくてはと考えている。


-日本のクルーズ旅行における課題は

澤田 船内コンテンツをもう少し日本人向けに工夫し、バリエーションを出すことができれば面白いと思う。最近の取り組みでは「ダイヤモンド・プリンセス」の和のテイストを取り入れた浴場などは、訴求力が高いと思った。その他では、船上花火大会の実施なども面白い。弊社も大きくなったら、そのようなイベント企画を積極的に船会社に働きかけていきたい。

 寄港地観光についても、コンテンツがさらに増えれば面白くなると思う。安価なオプションが加われば、若い人も参加しやすくなる。

 また、日本ではクルーズを扱う旅行会社がまだまだ少なく、大手が中心となって販売している。供給は増えているので、中堅の旅行会社も取り扱うようになれば、クルーズの認知度はさらに高まり、マーケットはもっと拡大していくだろう。


-ありがとうございました