田村長官、今年の漢字は「展」-来年は「業界が一層の奮起を」
観光庁長官の田村明比古氏は12月20日の業界誌向け会見で2017年を振り返り、「漢字1字で表すと、伸びる、広がる、転がるを意味する『展』」と語った。理由については、訪日外国人旅行者の堅調な増加、観光庁の体制強化による人員増などに加えて、「国際観光旅客税(仮称)による新たな財源確保に向け、新たな段階に展開している」と説明。その上で「従来は行政とごく一部の関係者で『観光は大切』と言っていたが、ようやく他産業を含めた幅広い人々に関心を持ってもらい、同じ方向に転がり始めた」との見方を示した。
18年については「環境整備に向けた各種施策が実行される重要な年」と説明。「観光産業をさらに伸ばすために、観光業界の皆様の一掃の奮起を期待したい」と話した。加えて、昨年1月の軽井沢スキーバス事故や、今年3月のてるみくらぶの経営破綻など「業界への信頼を毀損する事案」が続いていることに言及し、「信頼回復には地道な取り組みが最も重要」と強調。業界の取り組みを支援する考えを示した。
その他には、来年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行に向けて策定中のガイドラインについても言及し、先ごろ自治体向けにガイドライン案の説明会を実施したことを説明。「規制改革会議から『自治体は過剰な規制を考えているのでは』との指摘があったことも説明した。健全な民泊の普及のために、自治体には慎重に検討してもらいたい」と語った。ガイドラインは年内にも発表する予定。
観光庁が来年10月に設立10周年を迎えることについては「前半は観光庁自体の認知度向上に取り組み、庁の範囲内で施策などに対応していたが、後半は全省庁を巻き込んで対応する段階に進めた」と取り組みを総括。これまでの成果として文化財や国立公園の観光への活用などを列挙するとともに、今後の課題としては空港の利便性のさらなる向上などを挙げた。