てるみくらぶが債権者集会、500名超が参加、粉飾認める
てるみくらぶと親会社のてるみくらぶホールディングス、関連会社の自由自在は11月6日、メルパルク東京ホールで第1回の債権者集会を開催した。集会に参加した東京商工リサーチ(TSR)によれば、社長の山田千賀子氏、申請代理人や破産管財人を務める弁護士らが出席。集まった債権者の数は、消費者を中心に「おそらく500名強」に上ったという。終了後に会場外で本誌などの取材に応えた参加者によれば、山田氏は「申し訳ございませんでした」と涙ながらに謝罪。そのほか集会では、てるみくらぶが破産手続開始に至った経緯や、粉飾決算の実施などが明らかにされたという。
TSRによれば、集会では約20名の債権者が質問。計画倒産に対する質問では、山田氏が「売上高を伸ばすために必死だった。わざとではない」とコメントし、今後の手続きや返金に関する質問では「還付の可能性はあるが、返金額は非常に低い。詳細は改めてご連絡する」との説明があったという。
なお、本誌が入手した管財人の資料によれば「過年度の更生請求等による税金の還付が認められれば、配当の可能性はある」というが、一般旅行者の債権者は約9万6000人、債権額は総額107億円に上る。てるみくらぶ側は債権調査を実施しておらず、正式な額は現在もわからないという。
管財人の資料によればてるみくらぶは2012年頃から、LCCの台頭による格安旅行の価格競争の激化、航空会社からの手数料収入の減少、機材の小型化や訪日外国人旅行者の急増などによる航空券仕入れの環境悪化などから業績が低迷。集客数を伸ばして売上高を増やすため「商品の原価率を十分に検証せず、あるいは赤字販売であることを認識しながら」格安旅行の販売を継続し、その悪循環がさらなる資金不足と赤字を生んだ。管財人の調査では13年4月には月次の粗利益がマイナスとなり、その後も繁忙期を除いて毎月の粗利益はマイナスを継続。14年9月期には債務超過に陥った。15年頃には新聞広告による集客を始めたことで、状況はさらに悪化した。
同社は国際航空運送協会(IATA)との契約更新や、旅行業の登録更新、金融機関からの借り入れなどのため、13年9月期から決算時に費用の取り消しや架空利益を計上するかたちで粉飾決算を実施。16年9月期については売上高117億7300万円、営業損失61億100万円、経常損失61億3000万円、純損失61億5600万円だったものを、売上高194億8100万円、営業利益1億1800万円、経常利益8800万円、純利益4800万円と偽っていた。山田氏は粉飾決算の理由については「IATAの資格を守るため」と回答したという。
3月27日に破産開始に至った理由については、今年2月の時点で宿泊施設に対する取引債務が約5億6600万円あったこと、3月23日にIATAに支払うべき約3億7100万円の支払いができなかったこと、宿泊施設や海外ランドオペレーターなどへの債務支払も見通しが経たないことから破産開始に至ったとの説明があった。本誌の取材に応えた参加者からは「2月の段階で倒産を判断していればここまでの被害にならなかった」「数年前から赤字が続いていたのなら、なぜもっと早く手を打たなかったのか」などの怒りの声が挙がった。
このほか、参加者からは「慣れていない国などへの旅行については旅行会社に頼らざるをえないが、自己責任でOTAなどを利用する方がむしろ安全なのでは」「今後は大手旅行会社や、経営状態がしっかりしてしている旅行会社でお願いしなくては」などの意見が聞かれた。今後は来年の5月28日に第2回の債権者集会が開かれる予定。