多様化する海外旅行市場で旅行会社の役割は-ツーリズムEXPOより
求められる旅行会社の企画・マーケティング力
ミレニアル世代への新しいアプローチも不可欠
「ツーリズムEXPOジャパン2017」で開催された海外旅行シンポジウムでは、「顧客のニーズはどこにあるのか?〜多様化する海外旅行市場、新しいデスティネーション、新たな顧客開発のために旅行会社は、今、何をなすべきか〜」をテーマに、基調講演とパネルディスカッションがおこなわれた。基調講演では、メキシコ観光局駐日代表のギジェルモ・エギアルテ氏が、受け手である海外観光局の視点から見た現在の海外旅行市場について分析。パネルディスカッションでは、ホールセラーとツアーオペレーターの視点から新たにニーズを掘り起こすヒントが提案された。
メキシコ観光局駐日代表 ギジェルモ・エギアルテ氏
パネルディスカッション
ワールド航空サービス代表取締役社長 松本佳晴氏
クオニイジャパン代表取締役社長 ビクトー・ロペス氏
メキシコ観光局駐日代表 ギジェルモ・エギアルテ氏
モデレーター
JTBワールドバケーションズ 代表取締役社長 生田亨氏
生き残るために新しいチャレンジを
最初に登壇した、メキシコ観光局のエギアルテ氏は、「観光局から見た日本の海外旅行市場」をテーマに基調講演をおこなった。同氏は市場の変化について「現在はオンラインでの旅行予約やスマートフォンによる情報収集などが主流になる『デジタルレボルーション』が起こっている」とした上で、「今後はエコツアーなどの新しいトレンドやミレニアル世代の価値観などが市場に影響を与える」と予測した。
エギアルテ氏は、現在は旅行会社にとって安近短のデスティネーションが売りやすくなっているが、価格競争が激しいため利益の出るデスティネーションは限られていることについて言及。日本発の航空ネットワークが広がり、日本人の休日も増えているとした上で、「より長い期間、より遠いデスティネーションの商品造成による新たなアプローチが必要ではないか」と提案した。
加えて、旅行会社が向き合うべき3つのチャレンジとして、まずは「従来のデスティネーションにプラスする新ルートの開拓」を挙げ、「たとえば、パリは周辺のワインの村やサイクリングと組み合わせて、ニューヨークはジャズなどディープな世界をプラスすることで旅行需要が創出している」と語った。また、「東京以外の地方需要の喚起」、例えばテキーラだけを目的としてメキシコに行く旅行をアピールするなど、「ミレニアル世代のモチベーションを高める新しいトレンド作り」も求められるとした。
エギアルテ氏は最後に、「新たな市場へのアプローチ、利益の出る旅行ビジネスへのチャレンジ、新しい機会を生むプロダクトの開発によって旅が生まれ変わる」とし、旅行会社が生き残るためのキーワードとして「Reset & Renew」を挙げた。