業務渡航にITを、「デジタル・ラグジュアリー」とは?
OBTの利用率向上をめざす企業
チャットボットや仮想アシスタントの波来るか
▽人に取って代わるAI、真のパーソナライゼーションも
「トラベルのテクノロジー戦略の構想方法を考える」では、アマデウスと、グローバル展開する航空券コンソリデーターのミスティフライ、そしてネットワークビジネスで健康食品などを扱うハーバライフからパネリストが登壇し、モデレーターはBCDトラベルの最先端技術担当ディレクターが務めた。
冒頭、アマデウスからは今後の旅行を取り巻く環境についてプレゼンテーションがあり、「マイクロモーメント※」「第4次産業革命(モバイルウォレット、IoT、スマートシティ、AI、VR)」、「地政学的リスク」、「法規制」、「顧客の期待」がキーワードとして列挙された。
※マイクロモーメントはGoogleが提唱する考え方で、消費者が何かをしたいと思う瞬間のこと。スマートフォンなどの普及によってマイクロモーメントが即座に行動に結びつくようになっており、企業はそうしたマイクロモーメントを逃さずにつかむことが求められるこのように変化する環境を踏まえ、業務渡航分野におけるテクノロジー戦略の基本についてハーバライフの担当者は、「旅行者にとっては早く、快適で、スムースであることが重要で、最近は安全へのニーズも高まっている」とし、一方で出張者を送り出す企業側にとっては、出張者の行動について適切にデータ収集できること、そして将来的にはリアルタイムでの把握や将来予測が期待されると語る。
また、ミスティフライ登壇者は、今後の業務渡航にとって最も大きなインパクトをもたらすテクノロジーは「AIによるチャットボットとバーチャルアシスタント」であると推測。ただしチャットボットは2、3年のみのトレンドで、「ポケットベルが携帯電話に地位を奪われたように、音声対話が主流になっていく」との考えだ。
バーチャルアシスタントについては、例えば空港への出発が遅くなれば「このままでは便に遅れる可能性があります。ウーバーを呼びますか?」と聞かれたり、車が来ていざ出ようとすると「お荷物をお忘れですよ」と教えてくれたり、といった姿が現実のものとなるという。
このほか、BCDトラベルからのモデレーターは、経験上、企業のトラベルマネージャーはあまり大きな予算を持っていないとし、その上でテクノロジーへの投資を実現するには、人事総務やITなどそのテクノロジーがもたらすメリットを共有できる部門を巻き込むべきと指南した。
また同氏は、マシンにカプセルを入れてボタンを押せばすぐにコーヒーが完成する4ツ星ホテルと、バトラーが何分もかかって銀製のカラフェを持ってきて数千円もチャージされる5ツ星ホテルのどちらが「ラグジュアリー」かと問いかけ。このような差がテクノロジーと人間の差にもなっていくとし、顧客企業にソリューションやシステムを納入するBCDトラベルとしては、「デジタル・ラグジュアリー」というコンセプトを打ち出しているという。
さらに、個人的な意見として、航空券予約時の座席の好みや前回の支払い方法など汎用性のない「プロファイル」の活用から、真のパーソナライゼーションを実現する「CIAM(Customer Identity and Access Management)」の考え方が一般的になっていくとも指摘。個人情報保護との兼ね合いはあるものの、自らのどの情報をどの程度アクセス可能にするのかを自分で選べるという意味で「ソブリンID(sovereign ID、主権的ID)」というコンセプトも生まれているという。
なお、このセッションでは、登壇者の旅行分野におけるテクノロジー関連の情報収集手段にも言及。下記媒体などが情報収集手段として有効と紹介された。
・Tnooz
(リンク)
・Phocuswright
(リンク)
・Skift
(リンク)
・The Company Dime
(リンク)
・the beat
(リンク)
・BTN
(リンク)
・白書
※各社発行