東南アジアへ修学旅行を、ASEAN50周年で記念セミナー
日本アセアンセンターは都内で「Visit ASEAN@50」の記念事業の一環として「東南アジアへの教育旅行セミナー」を開催した。日本アセアンセンター観光交流部部長のワットゥニヨム・ドゥアンマラー氏は「日本とASEANの友好・協力関係の強化を実現するために、若い世代がASEANを訪れ、交流し刺激を受けることが、これからの日本にとって大変重要な視点だと思う」と述べ、セミナーで東南アジアを知ってもらい、教育旅行先として選ばれることを期待していると挨拶した。
セミナーでは、集まった旅行会社と学校の関係者80名に対してマレーシア政府観光局、フィリピン観光省、シンガポール政府観光局、タイ国政府観光庁から各国の教育旅行の取り組みを案内。
まず、マレーシア政府観光局マーケティングマネージャーの徳永誠氏は、マレーシアがアジアでトップクラスの英語レベルであり、マレー系、中国系、インド系、先住民族が住む多民族国家であることから多様性を学ぶことができるとアピール。また7月17日に開通した鉄道のMRTについて「より利便性が高まり、班別行動や自由な街歩きも実現できる」と紹介した。
次にフィリピン観光省のセクションチーフの横山泰彦氏からは、フィリピンへの教育旅行は2016年で中高合わせて11校とまだ少ないものの、3ヶ月未満の英語留学では96の高等学校が実施していることを紹介。横山氏は「参考値であるが長短合わせて昨年は約5万人の日本人がフィリピンに留学している」と語り、安価で質の高いマンツーマンの英語授業を受けることができる点を強調した。
一方、2015年の海外修学旅行目的地で2番目に多かったシンガポールからは政府観光局マネージャーの吉田明子氏が登壇。シンガポールでの教育旅行のポイントについて、安全性や異文化交流のほかに「自然、エコロジー、生物の多様性」「科学、テクノロジー、数学」「リーダーシップ&ライフスキル」「シンガポールストーリー」の4つの教育テーマを強みとして列挙。また学校交流については、日本以外の国からの希望も集中するなど学校数に対して人気が高まっているといい、そうしたなかでは「現地側からは修学旅行の時だけの交流でなく、継続的な交流を希望している」点に留意すべきと語った。
タイ国政府観光庁はマーケティングマネージャーの藤村喜章氏は、タイでの異文化交流の事例を紹介。大学や高校のゴルフ部などのスポーツ交流や、日本の料理専門学校の修学旅行ではタイ料理を学ぶ交流もおこななわれたという。また、日本からの駐在員も多いこともあり、日本人の医者がいる病院も多く「いざという時の対応も問題ない」と医療面もアピールした。
このほか、神奈川県の向上学園理事長の山田貴久氏は、「ベトナム、カンボジアへの修学旅行 その実践報告」と題して事例を紹介。同校では修学旅行を、「心の旅」として、また国際理解教育の入り口として位置付けているといい、「交流と平和学習」ができるデスティネーションとしてベトナム、カンボジア、韓国から行き先を選択し2年生全員が参加する形式にしているという。