インタビュー:ジャパネットホールディングス執行役員の茨木智設氏

 通信販売事業を展開するジャパネットホールディングスは、7月7日付で第1種旅行業を取得するとともに、このほど自社で造成したクルーズ旅行商品の販売を開始した。同社については昨年に、グループ会社が第3種旅行業を取得してJTB首都圏のクルーズ旅行商品を販売した事があるが、旅行業への本格的な参入は初めて。同社執行役員経営戦略本部本部長の茨木智設氏に、今後の旅行商品の造成や販売の方針などを聞いた。


-第1種旅行業の取得までの経緯を教えてください

茨木智設氏(以下敬称略) 昨年に、電話によるアフターサービスなどを担当しているジャパネットサービスパートナーズが第3種旅行業を取得して、JTB首都圏の企画した「ダイヤモンド・プリンセス」のツアーをテレビショッピング番組で販売したが、予想以上の客室数を販売できた。その後も少しずつ客室を追加しながら、販売を継続したが好調に推移した。アンケートなどから、お客様の満足度も高いことが確認できたため、本格的に旅行業に参入しようと思い、ジャパネットホールディングスで第1種の取得を決めた。

 4月1日にはクルーズ専門の部署として、経営戦略本部に「旅行企画部クルージング課」を設け、旅行会社や客船会社の勤務経験者などを採用した。総合旅行業務取扱管理者も4名おり、これらのスタッフに添乗業務を担当してもらう予定だ。このほど日本旅行業協会(JATA)にも入会した。

 販売については、本格参入に伴いジャパネットサービスパートナーズではなく、大規模な電話による注文受付体制が整っているジャパネットコミュニケーションズが6月に第3種旅行業を取得した。


-取り扱う旅行商品について教えてください

茨木 当面はクルーズ商品のみを取り扱う。第1弾として、MSCクルーズが来年の5月6日から15日にかけて「MSCスプレンディダ」(総トン数:13万7936トン、最大乗客定員:4363名)で実施する「日本の美を再発見する10日間」の客室の約半分をブロックチャーターして商品化した。行程は横浜発着の9泊10日間で、伏木、金沢、舞鶴、釜山、鹿児島、高知に寄港する。我々はヨットクラブデラックススイート、アウレアスイート、バルコニー付きの客室を販売する。

 ジャパネットの販売方針は「少品種多量販売」なので、数ある客船や客室から種類を絞って、最適なものを販売し、今後は1年に2本から3本程度、日本発着のチャータークルーズを実施したいと考えている。第1弾では横浜までの移動手段や寄港地でのオプショナルツアーについても、一部は我々が提供する予定だ。

 我々のお客様の多くは50代以上の方々で、クルーズ経験のない方が多い。こうした方々にクルーズの魅力を知ってもらい、新規顧客を開拓することが我々のミッションだ。

 ジャパネットの強みは、お客様が知らないものを自社のメディアなどで幅広く訴求し、世のなかに広げることができること。例えばボイスレコーダーは、以前は仕事で利用するものだったが、母から子へのメッセージの録音など、家庭での使い方を提案して利用者を増やした。クルーズについては普通の方はあまり知らず、知っていても高級なイメージから料金の高さを不安視する方が多い。我々が正確な情報を伝えることで、良さを分かってもらえればと思う。

 クルーズの一番の魅力は、旅行中に客室を移動することがなく、体力的な負担も少ないなど、楽に旅行できること。旅程は決まっているが、旅行者は寄港地で下船してもしなくてもよく、ある程度の自由度がある。

 クルーズはとても魅力的だが、日本のクルーズ人口はここ数年20万人台で伸び悩んでいる。要因の1つとして新規のお客様が参加しにくいことがあると思うが、我々には分かりやすくクルーズの魅力を訴求していくためのブランド力、情報伝達力、信頼性があると自負している。