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JATAと外務省、6月に続き安対セミナー、旅行会社に対策指南

  • 2017年7月9日

セミナーの様子  日本旅行業協会(JATA)と外務省は7月6日、都内で「旅行会社のための海外安全対策セミナー」を開催した。外務省は海外で頻発するテロ事件などを受けて、日本人の安全確保に向けた旅行会社との連携を強化しており、同セミナーは6月にJATAおよび日本添乗サービス協会(TCSA)と共催した添乗員向けセミナーに続くもの。今回は約100名の参加者に対して、外務省海外邦人安全課邦人援護官の伯耆田修氏が講演をおこない、近年のテロ事件の傾向や外務省の取り組み、旅行の際のリスク軽減に向けた具体策などを指南した。

石瀬氏  冒頭で挨拶した海外邦人安全課長の石瀬素行氏は、近年の外務省の取り組みについて「時代の変遷にあわせてはいるが、自前主義では課題に対応しきれない。是非とも旅行会社とのパートナーシップを構築したい」とアピール。外務省が有用な情報をわかりやすく提供し、その情報を旅行会社がさらに噛み砕いて旅行者に伝えることが重要で、そのことが旅行会社にとってもプラスになるとの見方を示した。あわせて参加者には「提供する情報を理解して商品企画に反映すること」「添乗員の意識や知識を向上させ、旅の安全性を高めること」「旅の魅力を伝えつつ、旅行者への注意喚起をはかること」の3つを要望した。

越智氏  JATA理事・事務局長の越智良典氏は、イラク戦争が始まった2003年から官民連携を続けていることについて述べた上で、協働のあり方については「さまざまな具体策まで外務省に求めることは難しい」と説明。参加者には、例えば外務省が発出する危険情報に「人が集まる場所を避ける」などと記されてるケースについて、「人が集まる場所を訪れるのが観光なので難しいと思いがちだが、訪問する時間を早朝にずらすなど、行程を少し変えるだけで安全性が保たれる」と指南し、外務省が提供する情報を活かすために「知恵を絞るのが我々の仕事」と強調した。

 その後の講演では、伯耆田氏が近年の欧州やアジアにおけるテロ事件の発生状況や、テロ行為の手口の変遷などについて解説。その上で「テロの発生は防げなくても、被害に遭うリスクを下げることは可能」と述べ、「ねらわれやすい人、場所、日時を察知して、危険回避に努めること」と「各人による予防とテロ発生時の対処」の2つが重要であることを訴えた。

伯耆田氏  一方では、海外で日本人が巻き込まれる犯罪の95%が、窃盗などの財産犯であることも説明。「音楽を聞きながら歩く」「屋外でスマートフォンを使う」など、基本的なミスを犯さないことで多くのトラブルを回避できることを強調し、外務省が配布している小冊子「海外安全 虎の巻」などを参考にすることを呼びかけた。

 そのほかには、外務省の「海外安全ホームページ」における情報発信を強化していることをアピール。6月に発出した欧州に関する注意喚起では「コンサート会場などには早めに入る。終了後はある程度時間をおいてから退出するなどし、人混みを避ける」など、これまで以上に具体的かつ詳細な対策を列挙していることについて述べた。また「危険・スポット・広域情報」のページに限らず、各地の風俗などについて記した「安全対策基礎データ」や、在外公館が作成した「安全の手引き」などについても活用を呼びかけ、最後には「たびレジ」への登録やシステム連携などを要請した。