前年並みの11億4千万円 全旅協保険の16年度実績
全国旅行業協会の保険制度の2016年度実績は、制度全体では前年度比0.2%減の11億4396万円でほぼ前年並みを維持した。
メーン制度の「旅行災害補償制度」の利用者数は628万人。昨年4月の熊本地震の影響を受けたものの、「ふっこう割」効果で九州地区が最終的には増加に転じたことや、関東地区の大口会員が利用者数を伸ばした。「海外旅行保険」は同10%超の増加。
同33%増となった「旅行業者賠償保険」の著しい加入増が目立つ。業務上のミスによる旅行客とのトラブルに備える会社防衛の意識の高まりといえそうだ。
16年末発売の訪日外国人客専用の医療補償「インバウンド旅行補償制度」については、全旅保険を扱う旅行ビジネスサポートによると「商品に組み込むことで魅力がアップし、VIP向けや価格競争に陥らないための武器として活用されつつある」という。
一方、保険金が支払われたケースは約2900件。60歳以上の事故が半分を占め、死亡に至る事故も毎年10件ほど発生しており、企画旅行における旅行会社の特別補償責任は大きな経営リスクとなる。死亡事例としては高齢者の食事中の誤えんによる窒息や宿泊先の風呂での溺水事故などが多く、旅程の安全確保だけでは防止できない場合も。そのため、同社では旅行特別補償保険は必須として加入を勧めている。
(17/06/30)
情報提供:トラベルニュース社