ANTA、今年度は石川送客や安全対策など注力-定時総会
全国旅行業協会(ANTA)は6月29日に第53回の定時総会を開催し、2016年度の事業報告と決算、17年度の事業計画案と予算案を承認した。17年度は3月に金沢市で開催した第12回の「国内観光活性化フォーラム」を受けて、4月から12月までの「北陸石川県送客キャンペーン」に取り組み3万人の送客をめざすほか、昨年の軽井沢スキーバス事故を受けて安全対策や事故防止に向けた取り組みを強化する。また、先般の「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」の成立を受けて、説明会を開催するなど会員の支援にも努める。
公務の都合で総会に出席できなかった二階氏の代わりに冒頭で挨拶した副会長の近藤幸二氏は、3月の「国内観光活性化フォーラム」を無事に開催できたことについて、出席者に感謝の意を表明。あわせて「今後も皆様の協力を得て、協会と支部の発展に努めたい」と挨拶した。
来賓として挨拶した観光庁長官の田村明比古氏は、観光先進国化に向けた現在の政府の取り組みについて「主に訪日旅行向けに見えるかもしれないが、その多くは現状に満足していない国内旅行者にとっても有効」と強調。各種施策が国内旅行の振興にも資するとして、ANTA会員に協力を求めた。
また、このほど成立した改正法については「地域の体験型商品の企画販売促進に向けた見直しをおこなった」と説明。「これまで地旅(じたび)の推進など、地域に根ざした活動に取り組んできた貴会の会員こそ主役になるべき時。魅力ある着地型旅行商品の企画・販売に向けた積極的な取り組みに期待する」と語った。
今回の総会では任期満了に伴う役員改選を実施し、自民党幹事長の二階俊博氏の会長留任などを決定。そのほか、本部が入居する虎ノ門のビルの建て替えに伴い、10月下旬に赤坂見附に移転することも報告した。
なお、同会によれば今年4月1日時点の会員数は第1種旅行業者が55社、第2種が2466社、第3種が2963社、地域限定旅行業者が51社で、合計5535社。16年度は訪日旅行事業に参入する企業の増加に伴い、第3種が188社入会するなど合計で272社が入会し、退会社数の208社を上回った。
16年度の苦情相談件数は前年比9.6%減の348件で、そのうち会員企業の倒産に伴う弁済関係が202件と最も多く、全体の58.0%を占めた。弁済認証件数は5社に対し93件となり、総認証決議額は約1676万円。5社のうち4社の還付率が100%となったが、東京都第2種のP.T.C.については認証申出金額約1333万円のうち1100万円が決議された結果、還付率は82.5%となった。