ANAHD株主総会、欧州旅行や地方路線維持などで質疑

  • 2017年6月25日

 ANAホールディングス(ANAHD)は6月23日、都内で定時株主総会を開催し、2016年度の業績や20年度までの中期経営戦略、4月のピーチ・アビエーション(MM)の連結子会社などについて説明したほか、取締役および監査役の選任などに関する5議案を原案通りに可決した。質疑応答では、欧州旅行商品の販売戦略などに関する事前提出の4問と、地方路線の維持になどに関する会場の株主からの12問に、それぞれ役員が回答した。

 このうち欧州旅行商品の販売戦略について、質問者は「ANAハローツアーにおける欧州方面の売上高減少は、テロ事件の影響ではなく、この春からの商品企画や販売戦略に原因があるのでは」と厳しく指摘。あわせて「商品ラインナップの減少や高額商品への偏重、他社と競合する商品が劣後しているでは」と追及した。

 これに対して、NH代表取締役副社長執行役員でANAセールス取締役会長の志岐隆史氏は、今年4月から「大きな改革」を進めており、添乗員が同行するツアー商品の店頭販売を縮小する一方で、インターネット経由での販売などに注力していることを説明。全体の商品数は昨年と同程度の商品数を維持していることをアピールした。ただし、ウェブサイトの見やすさなどについては改善の余地があるとの見方を示した。

 富山県から来た株主は、今後の地方路線の縮小に対する考え方について質問。これに対して4月に全日空(NH)の代表取締役社長に就任した平子裕志氏は、「航空のみならず、輸送に携わる会社にとって非常に大きな課題」との認識を示した上で、「増加する訪日外国人旅行者の取り込みをはかりつつ、リージョナル機などを活用して何とか路線を維持したい」と語った。

 しかし一方では「長い目で見れば大きな決断をする時期が来るだろう。系列を乗り越えてスケールメリットを出せる抜本的な対策を、官民挙げて取ることが必要では」とも述べ、将来的には他の航空会社社との協業による「新たな発想」の地方路線維持が必要になるとの見方を説明。議長を務めたANAHD代表取締役社長でNH取締役会長の片野坂真哉氏は「ANAHDにはMMやバニラエア(JW)もある。グループを挙げてしっかり路線を運営していく」とコメントした。

 なお、この日の出席株主数は前年比472名減の2111名で、所要時間は2時間7分。退場処分となった株主はおらず、終始穏やかに進行した。