ウィーン、18年はクリムトなど「世紀末芸術」を訴求

  • 2017年6月8日

(左から)ウィーン在日代表部のタウシュマン氏、ドラァグクイーンのタマラ・マスカラさん  ウィーン在日代表部はこのほど、都内でメディアなどを対象にイベント「ウィーン・モダニズムの輪舞」を開催した。冒頭で代表のミヒャエル・タウシュマン氏は、2018年は画家のグスタフ・クリムトとエゴン・シーレ、建築家のオットー・ワーグナー、デザインや絵画などを手掛けたコロマン・モーザーの没後100年であることを説明。「混沌の時代の美:クリムト・シーレ・ワーグナー・モーザー」をテーマに、19世紀末から20世紀にかけての「世紀末芸術」において活躍した4人にゆかりのある観光地や、関連イベントなどをアピールする方針を示した。

ウィーン市観光局のハーブレ氏  タウシュマン氏は「ウィーンには年間500万人の旅行者が訪れており、ウィーン・モダニズムに関する見学は大きな目的の1つになっている」と説明した。本誌の取材に対しては「文化や芸術は日本人に人気のあるテーマ。旅行会社にはぜひツアーを造成してほしい」と呼びかけた。

 イベントでは、ウィーン市観光局日本担当メディア・リレーションズのフェレーナ・ハーブレ氏がウィーン・モダニズムに関する見どころなどを紹介。クリムトのコレクションがあるベルヴェデーレ宮殿上宮や、シーレのコレクションがあるレオポルド美術館、ワーグナーが手がけたサンクト・レオポルド・アム・シュタインホーフ教会、モーザーの作品を見られる応用美術博物館を紹介した。18年にはベルヴェデーレ宮殿下宮や応用美術博物館などで15の特別展を開催。ワーグナーが設計した建築物を巡るガイドツアーなども実施する。

イベントでは東京大学名誉教授の姜尚中氏がウィーン・モダニズムの魅力を語った  同観光局によれば、16年にウィーンを訪れた日本人旅行者数は前年比11.7%減の11万7971人で、宿泊数は10.0%減の25万7585泊。昨年9月のオーストリア航空(OS)の日本撤退や、テロ事件による欧州への旅行需要の減少が響いた。

 ただし、今年の1月から3月までについては、旅行者数は13.5%増の2万5327人、宿泊数は10.3%増の5万5813泊とともに2桁増加しており、タウシュマン氏は「大変喜ばしいこと。旅行会社やメディアなどパートナーの皆様に感謝したい」と語った。今後はシニアに加え、女性やLGBTの取り込みをめざす考えで、17年の目標数値などは設定していないという。