エア・カナダ、中部線の復便間近、レセプションに知事や市長
エア・カナダ(AC)は5月24日、名古屋で子会社のエア・カナダルージュ(ルージュ)による中部/バンクーバー線就航を前に、旅行業界関係者を招いてレセプションを開催した。レセプションにはACアジア太平洋担当ディレクターのP.K.リー氏と日本支社長のワイス貴代氏のほか、愛知県知事の大村秀章氏や名古屋市長の河村たかし氏、在名古屋カナダ領事館領事のシェルニエ・ラサール氏らも参加し、11年ぶり3度目ながら中部国際空港へは初めてとなる路線の成功を祈願した。
新路線は6月2日から10月27日までの季節運航便として開始するもので、最大で1週間あたり4便を設定。運航するルージュはACが「ハイブリッド・エアライン」と位置付けるブランドで、日本では大阪に次ぐ2路線目。
もともとルージュはカナダの国内市場に中南米や欧州のレジャーデスティネーションへのアクセスを提供する目的で設立したが、現在はグループとして国際線路線網の強化を成長の軸として位置付けるなかで、ACでは収益化しにくい路線を低コストの運航体制で実現する役割を担っているところ。ワイス氏は「中部線の成功がACの成功に結びつく」と協力を呼びかけ、リー氏も路線を安定的に維持できるよう「長期的な投資」を続けると強調した。
ワイス氏によると、現在は初便の予約率が100%に届かないなど順風満帆ではない滑り出し。会場に集まった関係者からも、「まだ認知が広がっていない」、「名古屋に限らないが、座席はあっても現地のホテルが確保できない」、「業務渡航需要には季節運航では応えにくく、フルフラットシートも必要」といった厳しい課題を指摘する声が多く聞かれた。
とはいえ、そもそも中部圏の市場は保守的とされ、一朝一夕に定着する方が困難。ACもリー氏の言葉を受ければ少なくとも複数年での計画を立てていると考えられ、まずは18年夏ダイヤまでの1年半で地道な認知度向上や需要の掘り起こしが求められる。
ACとしてはこれまでも交通広告やオンラインのキャンペーン、業界向けセミナーなどを実施。また、会場で本誌の取材に応じたアルバータ観光公社ビジネス開発担当ディレクターの小西美砂江氏は、カナダ観光局などとの「チーム・カナダ」で、ポータルサイト「カナダシアター」での情報発信やセミナー、FAMツアーなどの活動を続けていくと説明した。
このほか、ワイス氏は旅行会社に対して、米国など以遠路線の販売強化を期待。接続が良いだけでなく、米国への入国審査をバンクーバーで終えることができ、荷物もスルーで移動できるなどメリットも多いことから、路線の維持とさらなるキャパシティ拡大のためにも、理想としてはカナダと以遠で50%ずつのバランスをめざしたいという。