旅行会社は「重大事故支援システム」活用を-日本アイラック国原氏
株式会社ジャタと共同で「JATA重大事故支援システム」を提供している日本アイラックの代表取締役の国原秀則氏はこのほど本誌の取材に応え、同サービスの利用状況や今後の展望などについて説明した。「JATA重大事故支援システム」は、日本旅行業協会(JATA)の会員企業による企画旅行の催行中に、重大な事故などで旅行者が被災した場合、日本アイラックの社員が初動対応を中心に24時間体制で約80項目にわたる処理対応について指導・支援するもの。海外旅行用サービスと国内旅行用サービスがあり、現在はJATA正会員の3分の1にあたる約400社が契約している。
国原氏は「何か起こった場合に、スタッフ数などに限りがある中小企業が自力ですべてを対応することは難しい」と述べ、事故発生時の初動対応などが企業の存続を左右すること説明。引き続きJATA会員企業にリスク管理の重要性を浸透させることで「将来的には半数(の600社程度)には増やしたい」と意欲を示した。費用面については「安すぎたかと思えるほど低く抑えているので、是非とも多くの旅行会社に活用していただきたい」という。
同社がジャタとともに同サービスの提供を開始したのは、会社設立の翌年の1997年。1年目の契約会社数は166社だったが、同年の11月にはエジプトのルクソールで多数の日本人の死傷者を出したテロ事件が発生したことなどにより、2年目には270社にまで増加した。3年目には300社を超えて、その後は緩やかな増加が続き、今年5月10日の時点では397社に上るという。
契約しているのは主に中堅以下の第1種旅行業者で、海外用サービスのみを利用している会社が186社、海外用と国内用の両方を利用している会社が200社、国内用のみを利用している会社が11社。近年は軽井沢スキーバス転落事故などに代表される国内の事故にも注目が集まっていることから、国内旅行を中心に取り扱う会社の契約も増加傾向にあるという。
なお、同サービスについては毎年、市場環境の変化にあわせたブラッシュアップも実施しており、20年目を迎えた昨年には国内用サービスにおいて訪日旅行についても対応を開始。病院や治療に関する情報収集や、被災者の家族の来日時の対応など、「道義的な対応の範囲」で側面支援を実施している。また、企画旅行に加えて、業務旅行などの手配旅行についても同様の対応を開始したという。
国原氏はそのほか、テロ事件などによる影響が顕著な近年の海外旅行については、「どこにいても『安全』とは言えず、『比較的安全』としか言えなくなってきている」と述べた上で、「旅行会社が生き残るためには、旅行者の求める最新の深い情報を提供できる『情報会社』になる必要があるのでは」とコメント。従来型の旅行会社に関しては「OTAが台頭する厳しい時代だが、従来型の会社にはOTAにはない対面販売のノウハウがある。『情報会社』に変わるために、今後は注力すべきことが変わると思う」との見方を示した。
※インタビューの詳細は後日掲載