週間ランキング、阪急のチャータークルーズ1位、朝鮮半島情勢も

[総評] 先週は事前にお断りもせず休載してしまい失礼いたしました。休暇をとって約12年ぶりに金沢へお邪魔してきたのですが、雨予報ながらほとんど降らず、しかも概ねとても暖かく、滞在中にどんどん桜が咲いていくという願ってもない滞在となりました。海外のお客様もたくさん来られており、見るからに国籍も多様で、新幹線も通っていなかった前回の様子を思い出しながら「インバウンドの時代」を感慨深く実感しました。

 振り返ると12年前はお金に余裕もなく、友人ととりあえず一番安い高速バスに乗って金沢をめざし、そこからは行き当たりばったりで過ごしたのですが、金沢城にも兼六園にも行かずに昼間から名前も知らない公園で酒盛りするという破廉恥な旅でした。一方、今回も贅沢をしたわけではないものの、往復とも飛行機に乗ることが決まっていて宿もあり、しかも同行者は妻で、夜には少々飲みすぎた失敗もありましたが、落ち着いた良い旅行になったように思います。

 トラベルビジョンに入社したのがちょうど10年前の4月でしたが、そう考えるとこの10年ちょっとの間で自らの身に起きた変化の大きさをつくづく思い知らされます。今が素晴らしく、当時がどうしようもなかったなどと思っているわけではなく、むしろ懐かしさと喪失感を覚えるほどです。

 とはいえ、曲がりなりにも社会人として職務をまっとうし、多少なりとも旅行業界の皆様のお役に立てている現状は、浪人1年、留年3年というこれまた恥ずべき大学生活の只中であった当時からすれば想像も及ばない未来であったはずで、その意味で読者の皆様を含む周囲のお力添えに感謝するばかりです。また、逆にいえば無根拠でも、自暴自棄にならずに自分を信じておくことの大切さも感じます。

 さて、前置きが長くなりましたが、今週のアクセスランキングでは、阪急交通社が2018年のゴールデンウィーク期間にMSCクルーズとノルウェージャン・クルーズラインの船をチャーターする計画についての記事が1位になりました。船会社との契約の詳細は当然わかりませんが、最大で7241名分のキャビンを買い取って販売するという意欲的なプロジェクトで、しばらく苦しい状況が続いていた同社にとって復活への起爆剤のような役割となることが期待されます。

 10年前の入社直後から何度か「今年こそクルーズ元年」という声を聞き、近年では海外の船が日本発着の定点クルーズを実施するなど関係各所がそれぞれ努力をしているものの、クルーズ人口はかねて目標として掲げられる50万人に遠く及ばない現状があるわけですが、旅行会社が「市場を作る」ことができれば状況も変わっていくはずです。

 続いて2位には、北朝鮮と米国の関係が緊迫化する中で韓国旅行を不安視する意見もウェブサイト上などで散見されるなか、旅行業界の現状認識を聞いてまとめた記事が入っています。各社によると現時点では大きな影響は出ていないということで、ひとまず安心できる内容となりました。

 ただし、この原稿を書いている金曜日にも米国が先制攻撃の準備に入ったなどという恐ろしいニュースが飛び交っており、まったく先行きは不透明ながら、もはや「いくらなんでも」は通用しない、何があってもおかしくない世の中だという認識を忘れないようにしなければなりません。東日本大震災の直後にBCP(事業継続計画)の重要性が叫ばれましたが、どのような場面でも冷静に行動できるよう最悪のパターンを含めてあらゆる事態を想定しておかなければなりません。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年04月07日0時~04月14日17時)
第1位
阪急交通社、18年GWに外船2隻を同時チャーター、目標6000名(17/04/10)

第2位
朝鮮半島情勢、現在は旅行に影響少なく-各社の対応(17/04/13)

第3位
人気航空会社1位はエミレーツ、7位にJAL-トリップアドバイザー(17/04/12)

第4位
ANAセ、A380導入で年利3.8%のハワイ限定積立商品(17/04/10)

第5位
「危機管理広報」でピンチをチャンスに-JATA経営フォーラムから(17/04/12)

第6位
16年度の旅行業倒産は2件増の27件、てるみ破産で負債総額7倍(17/04/11)

第7位
外務省、フィリピン全土に注意喚起、GWなど控え(17/04/13)

第8位
MSC、18年5月に初の自社日本発着クルーズ、阪急チャーター後(17/04/11)

第9位
くまもとDMC、「稼げる観光」実現へ-株式会社の強み発揮(17/04/12)

第10位
トランプで日本人20万減か-ブランドUSA、17年はデジタル広告など(17/04/10)