邦人の安全確保に「旅行会社も巻き込む」-外務省・石瀬氏
外務省領事局海外邦人安全課長の石瀬素行氏はこのほど本誌のインタビューに応じ、テロ事件や感染症などの脅威が拡大する近年の国際情勢における在外邦人の安全確保に向け、「個々人が所属する企業や団体、旅行会社などを巻き込んでいきたい」と語った。特に旅行会社に対しては「インターネットが発達して個人旅行が簡単になった現在では、リスク対策こそが旅行会社の存在意義になるのでは」と述べ、官民連携などに協力を求めた。
石瀬氏は、旅行者の安全確保については「まずは自分で自分の身を守ることが基本だが、個人の意識だけでは難しい場合もある」との見方を示した上で、情報を提供できる立場にある旅行会社の存在価値について言及。「我々が『海外安全ホームページ』などで提供するさまざまな情報を、旅行のプロが読み込んで旅行者の事情にあわせて伝えるとともに、何か起こった場合でも充分に対応できることを売りにしていただきたい」と要望した。
また「リスク対策にはどうしてもコストがかかる。だからこそトップの方々のリーダーシップが必要になる」と語り、企業においては経営陣こそが率先してリスク対策を進める必要があることを強調。「我々としても旅行会社との連携を強化したい」と呼びかけた。
2014年に提供を開始した短期旅行者向けの旅行登録サービス「たびレジ」については、「最新の海外安全情報メールや、在外公館が発出する緊急一斉通報を提供しているので、登録していただけると洪水など範囲の広い災害が起こった場合でも支援の手を差し伸べやすくなる」と説明。旅行会社とのシステム連携の推進などに期待した。
そのほか、ツアー造成に大きく影響する危険レベル判定については「在外公館などが得た情報などに基づく総合的な判断であり、我々の最大限の努力の結果」と理解を求めた。
※インタビューの詳細は後日掲載