シンガポールがMICEセミナー開催、M・I強化で17年は15%増へ
シンガポール政府観光局は先ごろ、MICEジャパンの協力のもと「シンガポールMICEセミナー」を開催した。セミナーでは同局が特に注力するミーティング(M)とインセンティブツアー(I)の増加に向けて、コンベンションビューローの活用法や観光素材を利用したツアー案などを紹介した。同局日本支局マネージャーの大石洋介氏は、「シンガポールは東南アジアの経済発展の中心であり、その点だけを見ても訪れる価値がある」とアピールした。
同局によると、現在の日本人訪問者数の比率はレジャーが6割、ビジネスが4割。ビジネス目的のうち、MICEによる具体的な訪問者数は公表していないものの、17年はMICEでの訪問者数を前年比15%増にしたい考えだ。大石氏は「安全性・快適性・プランニングのしやすさが(MICEデスティネーションとしての同国の)売りのベースになる」と説明した上で、さらなる魅力の掘り起こしや旅行会社などへの情報提供などを通じて「プラスアルファの付加価値を付けたい」と意欲を示した。
大石氏はセミナーで、植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」のレストラン「POLLEN」と光と音のショー、30分間の空中散歩が楽しめる巨大観覧車「シンガポール・フライヤー」、IR「リゾート・ワールド・セントーサ」にある水族館「シー・アクアリウム」をMICE向けの観光素材として紹介。これらの素材を活用した20名から最大200名規模の団体ツアーやパーティーの行程を提案した。
セミナーではそのほか、MICEジャパンのコンサルティング事業部シニア・コンサルタントの金田翔吾氏が登壇。金田氏はインセンティブビジネスの最新トレンドとして、「今後は旅行後のビジネスへの効果を見込んで、産業視察などビジネス的要素や社員のトレーニング的要素を含んだものが増える」と解説した。
旅行会社に向けては「企業が抱える課題をいかに解決するかというソリューションセールスが重要」と強調した。その上で、MICEのツアーを企画する際にはランドオペレーターではなく、現地のビジネスイベントに特化したアレンジができるDMC(Destination Management Company)と提携することを提案した。
なお、シンガポールへの日本人訪問者数は年間約80万人程度で推移しているものの、2015年はインバウンドの増加の影響を受け、4.3%減の78万9179人に。16年は1月から11月までの累計で0.2%減の72万1216人で、通年では15年並みとなる見込みだという。